ガラスを通し女性の「身体」と「ドレス」について考える展覧会に広垣彩子ら

2017年08月15日 11:00 カテゴリ:最新のニュース

 

 

女性ガラス作家5名による作品を通し、女性の「身体」と「ドレス」について考える「BODY / DRESS」展が、石川県能登島ガラス美術館で開催されている。

 

出品作家は、穏やかな表情の少女たちをモチーフとする小田橋昌代(1975年三重県生まれ)、ガラス片を用いてドレスや靴などをつくり出す言上真舟(1984年福島県生まれ)、昨年の「国際ガラス展・金沢 2016」で大賞に輝いた広垣彩子(1984年奈良県生まれ)、ガラスで想像上の生命体を形づくる松宮硝子(1981年東京都生まれ)、ガラスやビーズなどを布とつなぎ合わせ、ファッションの分野でも注目される村山留里子(1968年秋田県生まれ)。ガラスという工芸的な素材を用いながら、身体を強く意識させ、現代を反映した表現を追求する5名が集う。

 

広垣彩子《Ambiguity》2016年 作家蔵 「国際ガラス展・金沢 2016」大賞受賞作

広垣彩子《Ambiguity》2016年 作家蔵 「国際ガラス展・金沢 2016」大賞受賞作

幾千もの極細のガラス棒などを用い制作する広垣彩子は、「国際ガラス展・金沢 2016」大賞受賞作品の《Ambiguity》を含む7点を出品。今展のテーマ「BODY / DRESS」をイメージし、人形に細かなガラスをドレスのようにちりばめた新作《mistical girl》も展示する。人の身体についてはこれまでもよくモチーフとしており、実際の姿かたちというよりも「本来のあるべき姿や理想の姿」を形づくることが多い。ドレスについてはあまり意識していなかったそうだが「人が‟纏う”目に見えない感情や記憶についてはいつも考えています。今回の新作も、行き場の無い不安が少女に纏わりついているようなイメージで制作しました」と語る。

 

人形の身体にガラスの植物を生やした作品《Katharsis》は、「人が亡くなった後でも、想いは永遠に成長する」というコンセプトのもと2011年に制作した。「もともと生や死について考えることが多いのですが、故人の想いや残したものは物質的なものも含めてずっと残り、それらはずっと生きているのではないかと思っています。今作のきっかけとなったのは祖母の死。死から何年か経っても、彼女への想いは消えずに成長しているように感じます」。モチーフの花は、葬儀の際に花で飾られた祖母の姿と、帰り道に車から見えた彼岸花の群生に着想を得た。人形は命のないものを、植物は人が死んだ後も育っていく想いをイメージしている。

 

展覧会会場では、5作家による全42点を出品。ガラスが持つ透過性や反射性、また熱によって自在に形を変えるという性質を生かした造形は、時に煌びやかに、時に脆く痛々しく、時に禍々しさすら帯びながら見る者を圧倒する。女性の身体、そして女性にとって「もうひとつの皮膚」とも言えるドレスについて、彼女たちの作品を通し考えたい。

 

 

 

 

※チラシ・ポスター等で告知しているイ・ブル作品は、都合により8月17日(木)をもって撤収。

 

【展覧会】BODY / DRESS

【会期】2017年7月15日(土)~10月22日(日)

【会場】石川県能登島ガラス美術館(石川県七尾市能登島向田町125-10)

【TEL】0767-84-1175

【休館】9月19日(火)、10月17日(火)

【開館】9:00~17:00(入場は閉館の30分前まで)

【料金】一般800円 団体(20名以上)700円 中学生以下無料

 

【関連リンク】石川県能登島ガラス美術館

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