【レポート】 「藝大アーツ・サミット2012 アジアから世界へ―連携と共生―」開かれる

2012年11月09日 11:05 カテゴリ:最新のニュース

 

東京藝術大学創立125周年を記念し、アジアの芸術系大学の代表が集い、新たな芸術創造、芸術の連携のあり方についてアジアから世界に向けて発信する「藝大アーツ・サミット2012 アジアから世界へ―連携と共生―」が、10月10日(水)、東京台東区の浅草ビューホテルで開催された。予定していた中国7大学から直前に不参加の表明があり、結局23大学が参加、シンポジウムなどの総括後、「藝大アーツ・サミット2012宣言」に調印し、盛況の内に閉幕した。

 

 

日本はじめ韓国、台湾、モンゴル、インドネシア、ベトナム、タイ、シンガポール、マレーシア8カ国1地域から代表が出席。日本からは東京藝大はじめ愛知県立芸術大学、沖縄県立芸術大学、金沢美術工芸大学、京都市立芸術大学の5芸術大学が参加。開会式において宮田亮平・東京藝大学長(文化審議会会長)は歓迎の意を述べつつ、「本日の皆様の御集まりを感謝いたします。文化・芸術は国境を越える、あるいは国境はないというくらいの気持ちで前進してまいりたい。人間個々の持つ素晴らしさをきちっと感じ合い、お互いに教育を実践しながら大きく世界に向けて発信する架け橋になってもらいたい」と挨拶した。また、来賓として出席した近藤誠一・文化庁長官から祝辞が述べられた。

 

 

鼎談「アジアの芸術文化の未来」より。(左から)宮田亮平氏、青木保氏、山村浩二氏。

続いて宮田学長、自らのフィールドを長くアジアと関わり続けてきた文化人類学者の青木保・国立新美術館長、アニメ分野で世界的な評価を受けるアニメーション作家の山村浩二・東京藝大教授による鼎談「アジアの芸術文化の未来」が開かれた。
 

国際シンポジウムではテーマ1「アジアにおける芸術の独創的展開」で、北郷悟・東京藝大副学長をモデレーターに各大学から貴重な報告、研究成果などの発表があった。続くテーマ2「アジアの芸術 今後の連携の在り方」では渡辺健二・東京藝大副学長を中心にアジアで新たな文化を生み出す国々の連携や文化を超えての共振は可能か、この共生の「場」「ネットワーク」とは具体的にどのようなものか、などが語られた。

 
シンポジウム総括後、「藝大アーツ・サミット2012宣言」に調印、会は盛況裏に閉幕した。サミットの総合プロデューサーを務めた三田村有純・東京藝大学長補佐(国際交流担当)は「今回、御集まり頂いた各大学の学長を始め150名を超える皆様は、芸術家・研究者・行政職であり芸術分野で充実した教育成果を上げた方々です。こうした形で一堂に会う事は歴史的に初めてで、実に大きな意味を持ちます。この出会いを出発点に芸術文化の新しい試みの価値や魅力をお互いのものとしていきたい」と語った。

 

残念ながら、当初から参加予定していた中国の芸術系7大学(中央美術学院・中央音楽学院・清華大学美術学院・上海音楽学院・中国美術学院・新疆芸術学院・復旦大学上海視覚芸術学院)は、開催直前に各大学より参加辞退の連絡があった、という。尖閣諸島の問題が日中間で起きたことなど最近の情勢を鑑みて参加辞退に至った模様だ。主催者である東京藝大では、今後も中国の芸術系大学と日本の芸術系大学との芸術文化交流は変わりなく続いていく、とした。

 

「新美術新聞」2012年11月1日号(第1295号)3面より

 


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