音楽とマリー・ローランサン ―音楽が彼女にもたらしたもの:吉澤公寿

2018年03月28日 18:04 カテゴリ:最新のニュース

 

 

1908年サロン・デ・ザンデパンダンに《狩りをするディアナ》をはじめ6点を出品したマリーは、現在ディズニーランド・パリがあるシェッシーで音楽家アンドレ・ジェダルジュの邸宅に滞在します。アンドレとアメリー・デダルジュ夫妻はパリ音楽院で出会い1887年に結婚、4人の娘と1人の息子に恵まれましたが、娘のうちの一人、おそらくエディットとマリーは画塾で出会い友人となりました。

 

ピカソやアポリネールとともに前衛芸術運動の只中で新しい絵画を模索していたこの時期に、マリーはシェッシーでは殆ど作品を描きませんでした。しかし、マリーがただ単に学生時代の友人の家で休暇を過ごしたとは考えがたく、おそらく自分自身の芸術の中に音楽を反映させる可能性があるのか、このモーリス・ラヴェルの師で『フーガの教程』の著者と、声楽の大家であるエミールとの対話を持ったと考える方が自然でしょう。この後彼女の作品の中に楽器が頻繁に現れるようになります。

 

 

マリーはこの20年後、アンドレの生徒であった、後にフランス6人組と呼ばれる作曲家集団のダリウス・ミョー、アルテュール・オネゲルと知り合う事になり、またフランシス・プーランク、ジョルジュ・オーリック、ルイ・デュレ、そしてコクトーが「耳のローランサン」と呼んだ女性作曲家ジェルメーヌ・タイユフェール等と交遊を持つようになります。

 

その幼少期から母親の歌うノルマンディーの歌やオルガンの音を聞き、教会での音楽に触れて来たマリーにとって、音楽とは彼女の人生にも、そして自分が創造する芸術にも欠くことの出来ない大切な要素であった事をこの展覧会で紹介致します。

 

(マリー・ローランサン美術館館長)

 

 

 

 

 

【展覧会】音楽とマリー・ローランサン 『椿姫』水彩原画12点特別公開

【会期】2018年3月24日(土)~9月17日(月・祝)

【会場】マリー・ローランサン美術館(東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテル―ニューオータニ・ガーデンコート6F)

【TEL】03-6261-6245

【休館】月曜、祝日のとき翌日

【開館】11:30~18:30(入館は閉館30分前まで)

【料金】一般1,200円 高校・大学生900円 中学生以下無料

 

主な関連イベント
■ギャラリートーク
【講師】吉澤公寿(マリー・ローランサン美術館館長)
【日時】毎月第3日曜日 14:00~

 

【関連リンク】マリー・ローランサン美術館

 


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