「日常は、美しい。」――書家・奥田玄輝が初個展で示す日々の輝き

2018年01月15日 15:10 カテゴリ:最新のニュース

 

 

日常のなか、ふとした瞬間に訪れる小さな輝きがある。それはとても些細で、繊細で、注意しなければ見落としてしまう。街を歩けば草木があり、空には太陽と雲がある。当然のことだが、現代の慌ただしさのなかでは、その当り前の自然の姿さえ見失ってしまう――。

 

全日本書芸学院理事を務め、昨年の第69回毎日書道展で毎日賞を受賞した奥田玄輝(1989年奈良市出身)が、初めての個展を京都市のアートスペース余花庵で開催する。

 

高校時代、書道部の顧問であった浦井正眼(立命館宇治高等学校教員)を通じて詩文書に出会ったことが転機となった。「日本語の美しさや文字の美しさ、言葉の意味を表現するうえで詩文書に共感した」という奥田は、大学に入ると毎日書道展参与会員であり全日本書芸術学院会長の西野象山に師事し、現在は毎日書道展審査会員の西野桃笠の指導を仰ぐ。

 

書の世界は古くから、古典などを手本とする「臨書」によって自己の筆を鍛錬し、創作の基本を形作るとされている。永い鍛錬の先に個性の発露があると。しかし、象山も桃笠も、書の伝統を学び、さらに自分らしい表現をすることの大切さを奥田に伝えたという。今回の個展は、技術だけでなく人間性も育ててくれた師の温かな指導に対する恩返しでもあるのだと語る。

 

個展のテーマは「日常は、美しい」。日々、生活を送るなかで目にした輝きを、あるいは共鳴した言葉を書に昇華させる。風のにおい、雲のながれ、雨のしずく――、当たり前に存在する自然の美しさを見落としてはいけない、その素朴な姿を作品を通じてとどめておきたいという気持ちが筆をとらせた。彼女の心を動かした素朴な自然の姿はどのような文字となり、どのようなイメージの広がりを私たちに与えてくれるだろうか。大作から小品まで18点の展示となる。

 

 

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奥田玄輝 (おくだ・げんき)

 

1989年 奈良市出身
2012年 立命館大学経営学部卒業、立命館大学書道部卒部
西野象山、西野桃笠、浦井正眼に師事

 

現在
全日本書芸学院 理事
日本詩文書作協会 準会員
京都造形芸術大学・京都芸術デザイン専門学校 専任職員

 

受賞歴
2007年 第42回弘法大師奉賛高野山競書大会 文部科学大臣賞
2011年 第63回毎日書道展 近代詩文書部 U23奨励賞
2017年 第53回創玄展 詩文書部 特選
2017年 第69回毎日書道展 近代詩文書部 毎日賞

 

【展覧会】「日常は、美しい。― 奥田玄輝 書作展」

【会期】2018年1月16日(火)~21日(日)

【会場】アートスペース余花庵(京都市中京区寺町通御池上ル上本能寺前町475)

【TEL】075-212-9793

【営業時間】10:30~20:30(最終日は18:00まで)

【作家在廊日】1月18日、20日、21日

 

【関連リンク】アートスペース余花庵

 


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