「MOMATコレクション」で東山魁夷特集―《道》など17点が一堂に:鶴見香織

2017年09月16日 15:00 カテゴリ:最新のニュース

 

 

東山魁夷(1908~99)は、皇居新宮殿の壁画や、唐招提寺御影堂の障壁画も手掛けた国民的人気を誇る日本画家である。東京国立近代美術館では、東山作品を本制作だけでも17点所蔵しており、そのなかには《道》(1950年)をはじめ、名だたる代表作が含まれている。

 

東山作品のコレクションが形成されたきっかけは、1969年に当館が竹橋に移転したことだった。移転後は恒常的なコレクション展示室ができるということで、当時、多くの芸術家たちが自作の寄贈をお申し出くださった。このとき、東山本人からも本制作15点を含むまとまった数の作品が寄贈され、以降、何度かの寄贈を経て、現在の数に至っている。

 

こうした経緯から、当館では東山の回顧展開催に積極的に協力している。逆に言えば、当館のコレクション展でこれらをまとめて紹介するのは真実稀なこと。昨年と来年の大回顧展のはざまで、今回は奇跡的に本制作全17点の公開が実現することとなった。

 

ただ、企画展と違って予算はわずか。そこで、皆さまのご厚意をいただいたり、当館の持てるものを使ったりして、プラスアルファの体験を次のように提供することにした。

 

①ライトアンドリヒト株式会社からエルコの最新のLED照明をご提供いただき、東山ブルーの世界をウォールウォッシャーの白いライトで照らす。

 

②音声ガイドに東山本人の肉声による9点の作品解説を収録。1968年に当館で行った講演会を音源に、いつもの音声ガイドに特別に加えた。

 

③1964年の日展会場でとなり合わせで並んで話題をさらった、東山《冬華》、杉山寧《穹》、髙山辰雄《穹》の3点を、当時の並び順で展示するコーナーを設ける。

 

そして何よりのサービスは、混雑の少ないコレクション展示室で、東山のエッセンスが詰まった作品群をゆっくりとご鑑賞いただけること。この機会を逃さず、ぜひご覧いただきたい。

 

(鶴見香織 東京国立近代美術館 主任研究員)

 

 

 

【展覧会】所蔵作品展「MOMATコレクション」東山魁夷特集

【会期】2017年9月12日(火)~11月5日(日)

【会場】東京国立近代美術館 本館所蔵品ギャラリー(東京都千代田区北の丸公園3-1)

【TEL】03-5777-8600

【休館】月曜、祝日のとき翌日

【開館】10:00~17:00 (金・土曜は21:00まで。ただし、11月3日・4日は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで

【料金】一般500円 大学生250円 高校生以下無料

 

【関連リンク】東京国立近代美術館

 


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