東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、地上6階の新美術館建設

2017年06月09日 15:45 カテゴリ:最新のニュース

 

ゴッホの《ひまわり》や東郷青児コレクションで知られる東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(東京都新宿区)が、2020年春オープンの新美術館建設を発表した。高層ビルの42階から、独立した地上部の施設となる目的は何か。中島隆太・同館館長に、計画の経緯などを聞いた。

 

新美術館外観イメージ

新美術館外観イメージ

 

 

■美術館の〝見える化〟

1976年、同館は現在の損保ジャパン日本興亜本社ビル42階に「東郷青児美術館」の名で開館し、40年が経つ。87年に53億円で落札し話題となった《ひまわり》も、展示から30年で認知度の低下を示す調査があったという。「次の時代にふさわしい美術館とは」という議論が、数年前から続けられてきたと中島館長は明かす。同ビル敷地内の地上へ降りるのは「美術館の〝見える化〟」。「建物があれば、ここに美術館が存在すると認識するきっかけになります」。

 

新美術館は地上6階地下1階、大成建設の設計で2019年9月竣工、翌20年の春オープン予定。本社ビルとの協調性も考慮し、外観には東郷青児作品の特徴を採用した柔らかな曲線も用いられる。

 

■アートランドマーク

東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館の中島隆太館長

東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館の中島隆太館長

2012年に始まった新進作家の発掘・支援を行う「FACE展」(毎年2月開催)は、最新回でも出品数902点、入選倍率12.7倍と注目度が高い。新美術館オープン直前の19年度も、「継続性の点から休止はしたくない」と開催の可能性を探る。同展は、入選者の居住地域の新聞社へ取材の働きかけをするなどフォローが細やか。「点は線にしていかないと本当の支援にならない」と強調する。

 

公募美術団体展に贈られる損保ジャパン日本興亜美術財団賞も、「設立当初からの事業目的」であり継続を予定。展覧会の構成も、西洋絵画や新進作家支援という方針に大きな変更は無いようだ。

 

新美術館のコンセプトは「アートランドマーク」。文化芸術の起点となる建造物といった造語である。「新宿、とくに西新宿のシンボリックな建物となることを目指します。大型ホテルも近いため、建物があれば外国人宿泊者の方にも気づいてもらえます」。1日の乗降客数342万人という新宿駅の存在も大きく、西新宿の街並みのランドマークとなることが期待されている。時代とともに長くなってきた館名も変更を予定。今よりも親しみやすい名称が検討されるという。

 

 

フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》1888年

フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》1888年

 

 

東郷青児《望郷》1959年 ※「生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ」(9月16日~11月12日)にて展示予定

東郷青児《望郷》1959年
※「生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ」(9月16日~11月12日)にて展示予定

 

【関連リンク】 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

 


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