ミルク倉庫＋ココナッツの宮崎直孝（右）と坂川弘太

岐阜県が新たに開催する「清流の国ぎふ芸術祭Art Award IN THE CUBE2017（AAIC）」が4月15日に開幕。大賞を受賞したミルク倉庫＋ココナッツ《cranky wordy things》をはじめ、岐阜県美術館では15組のアーティストによる展示が行われている。

AAICは、2015年に第69回をもって終了した岐阜県美術展（県展）に代わる取組みの一つとして3年に1度開催し、ジャンルや技法を問わず、4.8×4.8×3.6mのキューブ空間を活かした美術表現を募集する。「身体のゆくえ」をテーマとする今回は国内外790件の応募から15の企画が入選。審査員は、O JUN（画家、東京藝術大学教授）、十一代 大樋長左衛門（年雄）（美術家、陶芸家）、高橋源一郎（小説家、文学者、明治学院大学教授）、田中 泯（ダンサー）、中原浩大（彫刻家、美術家、京都市立芸術大学教授）、三輪眞弘（作曲家、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]教授）、鷲田清一（哲学者、京都市立芸術大学学長）の各氏が務めた。

ミルク倉庫＋ココナッツの《cranky wordy things》は、複数のモニターから睡眠実験の記録映像が流れる中、様々な道具が勝手に動き音を立てる「人間が物のように、物が人間のように関係づけられた」空間。観る者の感覚を揺さぶり、物や身体に対する認識を変えてしまう本作は「人の脳と身体バランスを問いかけている」（大樋）、「素晴らしい大賞作品」（高橋）、「期待を込めて」（中原）などの評を得て大賞に選ばれた。ミルク倉庫＋ココナッツは、職人・エンジニアとして専門的技術を有する8名のグループで15年に結成。メンバーの宮崎直孝氏は「自分たちにとっても全く新しい作品で大賞受賞は率直に嬉しい。色々なスタイルの入選者がいて刺激になったし、施工の面ではAAICのファクトリーチームに助けてもらいました。今後の僕たちの活動によって、この芸術祭がより発展できるように頑張りたいと思います」と喜びを語った。賞金は500万円。

大賞ならびに審査員賞（賞金各100万円）は以下。
 

そのほか、佐藤雅晴《HANDS》、中村 潤《縫いの造形》、平野真美《蘇生するユニコーン》、堀川すなお《モノについて》、松本和子《透明の対話》、三木陽子《Conduit（導管）》、宮原嵩広《Missing matter》が入選した。会期中には美術家・森村泰昌や審査員の田中泯、高橋源一郎による講演会、審査員・アーティストのトーク、ワークショップなど様々な関連イベントが予定されている。

【展覧会】清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2017

【会期】2017年4月15日(土)～6月11日(日)

【会場】岐阜県美術館（岐阜県岐阜市宇佐4-1-22）

【TEL】058-271-1313

【休館】月曜

【開館】10:00～18:00（第3金曜は20:00まで）※展示室入場は閉館30分前まで

主な関連イベント
■森村泰昌講演会「身体のゆくえ」

【日時】4月23日(日) 14:00～15:30
【会場】岐阜県美術館 講堂
【料金】無料（事前申込不要、先着100名程度）
【出演】森村泰昌（美術家）

■青空トーク 十一代大樋長左衛門（年雄）／三輪眞弘

【日時】5月6日(土) 14:00～16:00
【会場】岐阜県美術館 野外展示場 ※雨天時は美術館講堂にて開催
【料金】無料（事前申込不要）
【出演】14時～の部：十一代大樋長左衛門（年雄）、三木陽子、宮原嵩広、三枝愛、柴山豊尚
【出演】15時～の部：三輪眞弘、ミルク倉庫+ココナッツ、佐藤雅晴

■田中泯講演会「田中泯はどのように美術と関わってきたか？」

【日時】5月20日(土) 15:00～16:30
【会場】岐阜県美術館 講堂
【料金】無料（事前申込不要、先着100名程度）
【出演】田中泯（ダンサー）、聞き手：髙橋綾子（名古屋芸術大学教授）

■高橋源一郎講演会「芸術の未来」

【日時】6月3日(土) 14:00～16:00
【会場】岐阜県美術館 講堂
【料金】無料（事前申込不要、先着100名程度）
【出演】高橋源一郎（小説家、文学者、明治学院大学教授）

■学芸員が案内するCUBE TOUR

【日時】4月21日(金)／5月19日(金) 18:00～／6月10日(土) 14:00～（各回約1時間）
【会場】岐阜県美術館 展示室
【料金】無料（事前申込不要）
【学芸員】鳥羽都子

【関連リンク】「清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2017」公式サイト