なぜ日油の反射防止フィルムなのか―愛知県陶磁美術館の場合

2017年04月03日 16:39 カテゴリ:最新のニュース

 

 

近年、各地美術館の老朽化が進み、代替施設の建設・リニューアルがラッシュの様相を呈している。建物のみならず展示設備の一新が求められる中、特に「反射防止フィルム」への需要が高まっているようだ。今回は、2014年の展示室リニューアル以来、日油の低反射フィルム「ReaLook®(リアルック®)」を導入してきた愛知県陶磁美術館の神崎かず子副館長に話を聞いた。

 

同館は、日本最大級の窯業地である愛知県瀬戸市に1978年「愛知県陶磁資料館」として開館。3点の重要文化財を含む7,000超のコレクションを有する国内屈指の陶磁専門美術館として、日本やアジアを始めとする世界各地の様々なやきものの魅力を展覧会や関連催事を通じて紹介してきた。開館35周年を迎えた2013年より「愛知県陶磁美術館」に改称している。

 

 

―愛知県陶磁美術館では、2014年の常設展示室リニューアルの際に、反射防止フィルムを導入されました。

 

神崎 本館2階の一部展示室の壁面、個別展示台のガラスにまず施工しました。免震装置を組み込んだ展示台や最新のLED照明もあわせて導入し、作品がより魅力的に見えるように一新しています。

 

―当初から反射防止フィルムを導入予定だったのでしょうか?

 

神崎 リニューアルの際、展示設備について東京国立博物館デザイン室の矢野賀一主任研究員に相談しましたら、低反射ガラスはベストであるが高額なので反射防止フィルムという選択肢があるとご提案いただきました。愛知県内でも反射防止フィルム導入の先行例がありまして、同館にもお話を伺っています。

 

―東京国立博物館は2006年にいち早く「ReaLook®」を本館展示室に導入していますね。反射防止フィルムの中でも「ReaLook®」に決められた理由は何でしょう?

 

名称未設定 4神崎 当館の場合は展示ケースの背が高く、対応できるのが日油製品のみだったんです。フィルム幅が1500mmと広いことを利用して、幅方向を高さ方向にとることでフィルムの継ぎ目を無くすことが出来ました。「コスト」よりも「規格」で選択した形ですね。

 

―実際に「ReaLook®」を導入して来館者の反応は?

 

神崎 非常に良い反応をいただいています。陶磁器は特に顔を近づけてご覧になる方が多いのですが、映り込みが少なくなり非常に見やすくなったと皆さん口を揃えて仰います。翌2015年に本館2階の残りの展示室に「ReaLook®」を入れ、来年度には本館1階の展示室にも導入する予定です。

 

―近年は反射防止フィルムを導入する館が特に増えていますね。

 

神崎 愛知県陶磁美術館は昭和53(1978)年に開館し、来年で開館40周年を迎えます。ちょうど昭和40~50年代は、各地で集中的に美術館が整備された時代です。それが今、一斉に更新の時期を迎えているのが大きな要因でしょう。私もそのような館の担当者より、反射防止フィルムについて聞かれることがあります。

 

―2015年に日油はより反射率を抑制する「AirLike®(エアライク®)」を発表し、東京国立博物館「鳥獣戯画」展で評判になりました。

 

神崎 私も会場で実際に見て驚きました。このような科学技術は本当に日進月歩の世界だと感じています。今後もより良い製品が世に出ればいいですね。

 

 

製品に関する問合せは油脂製品株式会社 植田氏まで(03-5795-3909)。

sponsored by 日油株式会社

 

 

同館では、4月14日(土)より企画展「瓦万華鏡」を開催。一昨年に開催した「タイル 近代都市の表面」展に続く“建材”をテーマとした企画展で、古代から近現代まで人々の生活と深く関わり、時代に呼応しながら様々に変化してきた瓦を紹介する。愛知県内で最も良好な状態で残存する古代の鬼瓦で、愛知県指定文化財となっている「鬼面文鬼瓦」をはじめ、資料含む約250点を展示するとともに、講演会やワークショップ、街歩きなどのイベントを通じて「瓦」の魅力を伝える。

 

 

本館外観 敷地内には他に2つの展示館と陶芸館、茶室、レストラン、ミュージアムショップなどがある

【展覧会】瓦万華鏡 ~社会、地域、心をつなぐ~

【会期】2017年4月15日(土)~6月25日(日)

【会場】愛知県陶磁美術館 第1・第2展示室(愛知県瀬戸市南山口町234番地)

【TEL】0561-84-7474

【休館】月曜

【開館】09:30~16:30(入館は16:00まで)

【料金】 一般600円 高大生500円 中学生以下無料

 

■記念講演会「愛知の古代・中世瓦の歴史と魅力」

【講師】梶原義実(名古屋大学大学院文学研究科 准教授)
【日時】6月10日(土)13:30~15:00
【会場】本館地下1F 講堂
【料金】無料、申込不要

 

■ワークショップ「三州瓦の“わざ”にふれる」

【講師】三州鬼瓦製造組合
【会場】本館地下1F 展示説明室
【料金】無料、申込不要

 

■街歩き「発見!東海道、有松の町並みと瓦」

【講師】服部豊(有松まちづくりの会 会長・NPO法人全国町並み保存連盟 顧問)
【会場】名古屋市緑区有松地区
【料金】無料(要申込み、定員20名)

 

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【関連リンク】

日油株式会社 ディスプレイ材料事業部 愛知県陶磁美術館

 


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