インタビュー:永井画廊・永井龍之介代表 スペース無き「画廊」とは ( 1 )

2016年07月01日 13:13 カテゴリ:最新のニュース

 

 

「公募-日本の絵画-」、銀座からの移転、『知識ゼロからの名画入門』

 

銀座4丁目、昭和通り沿いのビルにあった永井画廊。この春、同スペースを撤退し、展示スペースを持たない画廊となった。2012年にはじめたコンクール「公募-日本の絵画-」のこれからや、展覧会活動はどうなるのか。代表の永井龍之介氏(1956年東京都生まれ)に話を聞いた。

 

 

「公募-日本の絵画-2016」ポスター

 

 

-「自然・人間・自然と人間」という普遍的なテーマを投げかけ、2012年に始まった「公募-日本の絵画-」が、3回目の開催を迎えます。

 

永井龍之介氏(以下、永井) その始まりには、テーマを投げかけて、いろいろな作家を集めた展覧会を開きたいという考えがありました。作家たちの発想に頼るだけでは限界があると考えていますので、テーマを設定することで彼らの新しい可能性を触発できるのではないかと。画廊によく来て下さっていた佐々木豊さんとの相談で、それはおもしろいとなり、画廊の一企画ではなく、より規模の大きな公募展として始めることになりました。

 

-「日本の絵画」とは、シンプルな名称です。

 

永井 これは、審査員の一人である千住博さんの発案です。タイトルを英訳すると、ずばり「ジャパニーズ・ペインティング」。実は明治時代に生まれた「洋画」「日本画」を訳すと〝スタイル〟が入ります。「ウェスタン・スタイル・ペインティング」などいまの国際化社会に全く沿いません。翻訳すると「日本の絵画」が自然であることが分かると思います。その年の優れた「日本の絵画」を選出するということです。画廊ならではの公募なので、賞金は多く出せないけれど、受賞者の個展を開催します。

 

-今回からは、入選作の展覧会がヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル、そして大賞の副賞としてパリでの個展開催があります。

 

永井 横浜での展覧会については、一年以上前から移転の話とは関係なく検討していました。ホテルとアートのコラボが流行していますが、こちらでも新しいアート展示をと考えていたようです。展示は、ホテルの1階エントランスを予定しています。また、特別審査員に石坂浩二さんと、吉井画廊の吉井長三さんに加わっていただきます。石坂さんは「なんでも鑑定団」でご一緒してきましたが、あるお酒の席で、審査員をお願いしたら、二つ返事で受けてくれました。石坂さんは画家でもあり、絵画教室もお持ちです。吉井さんとは以前からお付き合いがあり、清春芸術村で私の講演会を企画して頂いたこともあります。国際的な展開も目指してきたので、GALERIE YOSHII PARISでの個展開催は、願ってもないことです。

 

 

山﨑鈴子「夜のやみ」 「公募-日本の絵画-2012」大賞

山﨑鈴子「夜のやみ」 「公募-日本の絵画-2012」大賞

中村紘子「白昼夢」 「公募-日本の絵画-2014」大賞

中村紘子「白昼夢」 「公募-日本の絵画-2014」大賞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-受賞者の方々について、その後の活躍はどうでしょうか。

 

永井 第1回大賞の山﨑鈴子さんは、本展をきっかけに大きく飛躍しました。個展も多く、いまや人気作家です。「アートオリンピア2015」の最高賞だった田中正さんは、「日本の絵画2014」の佳作賞です。「Seed 山種美術館 日本画アワード 2016」の入選者にも、重複する作家が散見されました。画廊企画の公募展ですから、ビジネスとして受賞・入選作家が弊廊展で売れることはもちろん望みますが、長期的な視野で、リスクは覚悟の上で、新人発掘の大切な企画として継続していきたいです。

 

―公募展に企画展と、銀座での活動は順調に見えていましたが、今なぜ、移転なのでしょうか。

 

永井 ビルの売却に伴い、オーナーが変わりました。オーナーとの縁でビルを借りていたので、オーナー変更でそこに居る意味がなくなりました。移転が正式に決定したにのは年初です。展示が決まっていた作家には、保留や延期のお願いなど、慌ただしい対応になってしまいました。いま、赤坂です。銀座時代はビルの4つのフロアを活かすために、追われるように毎月様々な企画展を行い、余裕がありませんでしたが、今は今後の構想を練るいい猶予期間になっています。

 

 

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「公募-日本の絵画-2016

申込期間:2016年9月20日(火)~10月3日(月)

搬入日:直接・委託ともに2016年10月8日(土)~16日(日)

テーマ:自然・人間・自然と人間

審査員:佐々木豊、千住博、布施英利、永井龍之介  特別審査員:石坂浩二、吉井長三

主な特典

大賞 1点 賞金50万円(買上げ)、GALERIE YOSHII PARIS での個展開催権利(永井画廊企画)

優秀賞2点 各賞金10万円、永井画廊企画による個展開催権利

入選数十点

応募作品規定

・出品点数一人2点まで

・油彩、アクリル、テンペラ、岩絵具、墨、水彩、パステル、木炭鉛筆、版画、ミクストメディア等の平面作品

・サイズ 100号以内

応募資格:不問  出品料:1点6,000円 2点10,000円(ともに税込)

授賞式及び発表展

会場:ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル 授賞式:2017年1月20日(金) 発表展:2017年1月20日(金)~2月 3日(金)

主催 ・問い合わせ先

〒104-0044 東京都中央区明石町11-15ミキジ明石町ビル6F 木楽舎内 永井画廊 「公募-日本の絵画2016-」事務局 清谷・上田

TEL 080-9573-5655 ※10:00~18:00(土・日・祝日除く)

E-mail info@nagai-garou.com

 

 


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