ルーシー・リーの全貌に迫る―姫路市美「没後20年 ルーシー・リー展」

2015年11月26日 10:32 カテゴリ:最新のニュース

 

陶芸一筋に生きたルーシー・リーの全貌に迫る

 

 

シンプルにして極上のエレガンスを纏うモダンな器で国際的な人気を博すルーシー・リーが惜しまれつつ世を去って20年が経つが、彼女の遺した仕事は、益々輝き世界中にファンを増やしている。本展は、リーの初期から晩年にいたる約200点余りの作品を紹介し、彼女の魅力に迫り、現代的意義を改めて考えようとする大回顧展。展示作品の大半が日本初公開となるのみならず新たに発見されたウィーンでの学生時代の作品も出品され、生前の作陶風景を取材した展示映像も見られるファン待望の充実した内容。

 

20世紀初頭のウィーンは、建築家ヨーゼフ・ホフマンが活躍し、建築から衣服までを総合的に調和させた美的空間の実現を目指したウィーン工房が誕生するなど、新たな美的価値が盛んに創出される先鋭的な空気がみなぎる都市だった。1902年にウィーンのユダヤ人家庭に生まれたルーシー・リーは、ホフマンが教鞭をとるウィーン工業美術学校に入学し、学生時代から非凡な才能を発揮し、卒業後はブリュッセル万国博覧会で金メダルを受賞するなど国際的な活躍が期待されていた。しかし1938年、ナチスのオーストリア侵攻により、リーは戦禍を逃れるためイギリスへ亡命。イギリスではバーナード・リーチやハンス・コパー等偉大な陶芸家との出会いに支えられながら、幾多の困難を越えて、独自の造形美を確立するに至る。そして1990年、病に倒れるまでロンドン市内の自宅兼工房で作品を作り続けた。その果敢な生涯とともに、ルーシー・リーの芸術世界は国境や世代を超えて、人々に勇気とインスピレーションを与え続けている。

 

現在、好評開催中の姫路市立美術館は西日本唯一の展示会場。同館の建物は、1905年に旧日本陸軍倉庫として建てられ、戦後は市役所、1983年より市立美術館に転用されてきた歴史を有する。戦禍を潜り抜けて近現代の美の殿堂として生き残った国の有形文化財でもある館で、同じ時代を腕一本、陶芸一筋に生きたリーの仕事の全貌が展観される意義は深い。会期中、ギャラリーコンサート&キュレータートークなど多彩なイベントもある。お見逃しなく!

 

 

【会期】2015年10月31日(土)~12月24日(木)

【会場】姫路市立美術館(姫路市本町68-25)

【TEL】079-222-2288

【休館】月曜、11月24日(火)

【開館】10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)

【料金】一般1000円 高校・大学生600円 小・中学生200円

 

<関連イベント>

■「実演 レクチャー! ルーシー・リーの技を知ろう」

【講師】小山耕一(陶芸家)

【第1回 鑑賞ポイント編】11月28日(土)14:00~16:00 :実演を通じて作品のみどころを紹介

【第2回 制作ポイント編】11月29日(日)14:00~16:00 :実演を通じて技の秘密に迫る

【定員】各回70名(要予約)

【参加費】無料

【申込方法】往復ハガキまたは同館ホームページのイベント申し込みフォームより ※10月31日(土)締切

 

■ピアノコンサート&ギャラリートーク

【出演】ピアノ:山中歩夢/ギャラリートーク:同館学芸員

【日時】12月20日(日)午前の部=11:30~12:30 午後の部=15:30~16:30

【参加費】無料

 

【関連リンク】「没後20年 ルーシー・リー展」公式サイト

 


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