国内初の開催、フィンランドに生きた女性画家の全貌に迫る「ヘレン・シャルフベック―魂のまなざし」

2015年03月23日 18:15 カテゴリ:最新のニュース

 

フィンランドを代表する画家ヘレン・シャルフベックの、日本における初めての大規模な個展「ヘレン・シャルフベック―魂のまなざし」が、6月2日から東京・上野の東京藝術大学大学美術館にて開催される。

 

ヘレン・シャルフベックは、1862年ヘルシンキ生まれ。3歳のときに事故で左足が不自由になるが、11歳で絵の才能を見いだされ、後に奨学金を得てパリに渡る。パリでは、マネやセザンヌ、ホイッスラーといった画家たちから強い影響を受け、帰国後は、母の介護をしながらヘルシンキ郊外の街で自らのスタイルを展開。以降もエル・グレコに学んだ作品や美術雑誌、ファッション誌からインスピレーションを得た作品を制作するなど、様々なものを貪欲に吸収しつつ独自の世界を切りひらいた。2012年には生誕150周年を記念する大回顧展がフィンランド国立アテネウム美術館で開催されるなど、近年世界的な注目を集める画家の一人となっている。

 

今展では、フィンランドの国宝級の作品といわれる「快復期」、「黒い背景の自画像」をはじめ、ホイッスラーの影響を強く感じさせる「お針子(働く女性)」、ファッション誌から出てきたような洗練された美しさをたたえる「島から来た女性」、そして、死に向かう自らを残酷なまでに冷徹に見つめた「正面を向いた自画像Ⅰ」「自画像、光と影」など、初期から晩年に至る代表作を5つのセクションで紹介。時代とともに多様な画風を展開した彼女のアヴァンギャルド精神、死ぬまで一人の画家であり続けようとした強い「まなざし」を感じさせる展覧会となるだろう。

 

 

3月9日に実施された報道発表会では、主催者代表の薩摩雅登(東京藝術大学教授)、佐藤直樹(同准教授)が出品作品、見どころ等の紹介を行った。薩摩教授は「作家のみならず、フィンランドの文化、伝統まで突っ込んで紹介したい。この展覧会で、間違いなくヘレン・シャルフベックの名が多くの方の心に刻まれることを確信しています」と自信をのぞかせた。また、2008年の国立西洋美術館「ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情」を手掛け、今展の監修・作品選定を務めた佐藤准教授は「実はシャルフベック展は08年から計画していたもので、7年越しの実現となりました。シャルフベックをはじめ、当時の北欧ファインアートの世界には多くの女性画家がおり、今日の北欧社会における文化観にも通じます。そうした視点からも観てもらいたい」と語っている。

 

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なお、音声ガイドは、ヘルシンキを舞台とした映画『かもめ食堂』以来、よくフィンランドを訪れているという女優・小林聡美が担当。作品について、また自身について画家が語った言葉を、小林の語りで楽しむことが出来る。

 

ヘレン・シャルフベック―魂のまなざし

【会期】2015年6月2日(火)~7月26日(日)

【会場】東京藝術大学大学美術館(東京都台東区上野公園12-8)

【TEL】 03-5777-8600(ハローダイヤル)

【巡回】

仙台展:2015年8月6日(木)~10月12日(月・祝) 宮城県美術館

広島展:2015年10月30日(金)~2016年1月3日(日) 奥田元宋・小由女美術館

葉山展:2016年1月10日(日)~3月27日(日) 神奈川県立近代美術館 葉山

 

【関連リンク】 「ヘレン・シャルフベック―魂のまなざし」公式サイト

 


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