【ニュース】東京都庭園美術館11.22にリニューアル開館

2014年09月29日 10:00 カテゴリ:最新のニュース

 

リニューアル記念展は「アーキテクツ/1933/Shirokane」&「内藤礼 信の感情」

 

(左から)本館、新館

 

■本館は建設当時の姿へ、新館にはホワイト・キューブも

東京都庭園美術館(港区・白金台)が約3年にわたる大規模な改修工事を経て、11月22日にリニューアルオープンを迎える。今回のリニューアルでは、東京都指定文化財である旧朝香宮邸を継承した本館の設備改修、ならびに建物保存を目的とした調査、修復、復原を実施。また新たにホワイト・キューブの展示空間が備わった新館が誕生する。

 

本館は大規模な設備の改修のほか、当時の資料を入念に調査し、ディテールにもこだわりながら、殿下居間の壁紙の復原、外壁の塗り替え、アンリ・ラパンがデザインしたセーヴル製屋内噴水器(香水塔)の修復などが行われ、1933年竣工建設当時の姿に近づく。

 

(左から)本館 香水塔、本館 殿下居間

 

本館に隣接する新館には新しいホワイト・キューブの展示室を設置。アール・デコ建築の本館から三保谷硝子製のガラスのアプローチを抜け、モダンで開放的な空間が広がる。新たな展示室を活用し、映像、音楽、舞台芸術など多様な芸術分野に挑戦するほか、様々な手法を取り入れた教育普及事業や講演会を実施する。また正門横には以前と同様、ショップが設置。新館には新たなショップとカフェがオープンし、オリジナルグッズやスイーツが提供されるという。

 

なお新館アドバイザーに関して杉本博司が選ばれた理由を、美術館側は次のように説明。「現在、東京芸術文化評議会評議員であり、庭園美術館新館改築の設計時には、評議員の立場から、様々な御意見をいただいてきた。氏は、世界でも著名な写真家・現代美術家であるとともに、日本の古代からの美術・建築・文学などに対する造詣も深い方。朝香宮邸時代から続く価値の保存と、美術館の庭園としてより適した姿に生まれ変 わるための庭園改修のコンセプトに合致すると思われ、アドバイザーをお願いした」。

 

新館 テラス

 

(左から)新館 ギャラリー1、新館 ギャラリー2

 

新館カフェ(イメージ)

 

■リニューアル記念を祝う2つの展覧会

リニューアルオープン後第一弾となる展覧会は本館と新館で「アーキテクツ/1933/Shirokane アール・デコ建築をみる」(本館)と「内藤礼 信の感情」(新館)が同時開催。「アーキテクツ/1933/Shirokane アール・デコ建築をみる」では朝香宮邸建築に関わったアーキテクツ(設計者・技術者たち)に焦点をあて、彼らが1933年に白金の地で何を目指して、何を実現したのかを紹介。彼らの目を通して、アール・デコ建築が生まれるストーリーを追いかける。

 

(左)《正面外観》 (松井写真館/1933年頃)
(右)《次室》 (松井写真館/1933年頃)

 

また新館をメイン会場として、「地上に存在していることは、それ自体、祝福であるのか」をテーマに探求を続けている現代美術作家・内藤礼の個展を開催。内藤礼は1961年広島県生まれ。1997年ヴェネチア・ビエンナーレ日本館で《地上にひとつの場所を》を発表し注目を集めた。今展では時間の積層や人の過ごした気配を感じる本館、そしてその先に現れる新館のホワイト・キューブ空間に、内藤礼の新作が命と色を吹き込む。

 

内藤 礼 Rei Naito 《ひと human》2014
木にアクリル絵の具 acrylic on wood
Photo: Naoya Hatakeyama

 

 

■新事業も含めた今後の展開

庭園美術館ではリニューアルに合わせた新たな試みとして「TTM: IGNITION BOX」と題したパフォーミング・プログラムを実施。同館の空間を舞台に映像、音楽、メディアアートが交差する東京発のパフォーミング・アーツを紹介する。東京、そして世界でユニークな活動を行っているスペシャリスト4人のディレクションのもと、分野横断的な表現を生み出す場となる。(具体的なプログラムは今後発表)

 

またラーニング・プログラム「ようこそ あなたの美術館へ」ではこれまで非公開であった1階「旧事務室」が「ウェルカムルーム」として新たに開放。誰でも利用でき、アール・デコや建築のヴィジュアル・ブックを中心とする本のセレクションや、映像を見れるほか、空間をより楽しむための”ツール”も開発されている。

 

2000年代から現代の作家を取り上げる機会が徐々に増加し、好評をはくしてきた同館だが、リニューアル後は「歴史的価値の保存と新たな価値の創造」をミッションに掲げる。このことについて同館は「庭園美術館ではアール・デコ様式の歴史的建造物の特色ある空間と、新館の新たな展示空間を効果的に組み合わせ、幅広い知的な関心と美的な経験の欲求に応える展覧会や関連プログラムを実施していく。展覧会のラインナップはこれまでの装飾美術やアール・デコと同時代の美術をはじめ、幅広いジャンルの展覧会を実施していくが、その一つに現代アートもある」としている。

 

 

 

「アーキテクツ/1933/Shirokane」・「内藤礼 信の感情」

【会期】11月22日(土)~12月25日(木)

【休館】毎月第2・第4水曜日、ただし12月24日は特別開館

【開館時間】10:00~18:00(12月22日~25日は20:00まで、入館はそれぞれ閉館30分前まで)

【料金】一般700円 大学生(専修・各種専門学校含む)560円 中・高校生・65歳以上350円

※小学生以下および都内在住在学の中学生は無料

【関連リンク】東京都庭園美術館

 

 

 


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