【レポート】 世界文化遺産 富士山に続き富岡製糸場が登録へ

2014年05月19日 10:00 カテゴリ:最新のニュース

 

世界文化遺産  富士山認定書伝達式が開催

6月には新たに富岡製糸場が登録へ

 

富士山 世界遺産認定書伝達式
壇上左より、横内正明山梨県知事、川勝平太静岡県知事、岸田文雄外務大臣、牧野たかお外務大臣政務官、青柳正親文化庁長官(写真提供:文化庁)

昨年6月、ユネスコ(国連教育科学文化機関)世界文化遺産に登録が決まった「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」に対し、ユネスコから送られた認定書伝達式が4月21日、東京・霞が関の外務省で行なわれた。岸田文雄外務大臣から川勝平太(静岡)・横内正明(山梨)両県知事に認定書のレプリカ(認定書原本は外務省で保管)が各々手渡された。岸田外相は日本の象徴である富士山が、今や人類全体にとって後世に残すべき「顕著な普遍的な価値」を有する世界遺産になったことに祝意を述べるとともに、外務省として日本の誇りである富士山の魅力をより一層力強く世界に発信していく旨を述べた。

 

一方、4月26日、政府が世界文化遺産に推薦していた「富岡製糸場と絹産業遺産群」が新たに登録される見通しとなった。ユネスコ世界文化遺産委員会の諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)の評価結果により、世界遺産一覧表に記載が適当との勧告がなされ、ユネスコ世界遺産センター(フランス・パリ)から4月25日、日本政府へ通知が送られた。今後は6月15日からカタール・ドーハで開かれる第38回世界遺産委員会で登録の可否が決定される。決定すれば、国内18件目の世界遺産となる(現在、文化遺産13件、自然遺産4件)。

 

富岡製糸場・東繭倉庫 (写真提供:群馬県)

 

「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)は4つの資産から構成される。1872(明治5)年に明治政府が設立した官営の製糸場で民営後も製糸技術開発の最先端として国内養蚕・製糸業を世界一の水準に牽引した「富岡製糸場」(富岡市)を中心に、1863(文久3)年建設の近代養蚕農家の原型「田島弥平旧宅」(伊勢崎市)、養蚕教育機関「高山社跡」(藤岡市)、蚕の卵の貯蔵施設「荒船風穴」(下仁田町)が含まれる。イコモスは「富岡製糸場と関連資産は、19世紀末期に養蚕と日本の生糸産業の革新に決定的な役割を果たし、日本が近代工業化世界に仲間入りする鍵となった」とその顕著な普遍的価値を認めた。

 

この報道を受け、富岡製糸場には4月26日~5月6日のGW期間中、昨年の約3倍となる5万6百人の見学者が訪れ、世界遺産効果が早速に表れる形となった。

 

「新美術新聞」2014年5月21日号(第1344号)3面より

 


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