【品川】 「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」

2013年12月06日 19:45 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

「恰幅の良いセルフポートレイト 1640」 1994年
©Yasumasa Morishita

 

名画の登場人物や女優などに自らが「なる」という手法のセルフポートレイト作品で、国際的に高い評価を得る美術家・森村泰昌(1951年大阪府生まれ)の個展が原美術館で開催されている。

 

1985年にゴッホの自画像に扮したセルフポートレイトを発表し、センセーションを巻き起こした森村。以降も名画の登場人物や時代を象徴する人々に扮し、原作あるいはその時代背景に独自の解釈を加える作品を一貫して制作している。1989年にベネチア・ビエンナーレの若手部門「アペルト88」に選出されたことで国際的な注目を集め、横浜美術館、東京都現代美術館、東京都写真美術館などで大規模な個展を多数開催。2007年に芸術選奨文部科学大臣賞、2011年秋には紫綬褒章を受章する。また、昨年には「ヨコハマトリエンナーレ2014」(横浜美術館)のアーティスティック・ディレクターに就任。アーティストならではの斬新な発想と現代に対するその鋭い感性がいかに発揮されるのか、大きな注目が集まる。

 

 

「放蕩息子に扮するセルフポートレイト 1636」 1994年           「家族の肖像・妻」 1994年
©Yasumasa Morishita

 

今展は、1994年に日本の美術館における初の個展として、原美術館で開催された「レンブラントの部屋」を約20年の時を経て再現し、森村の表現世界を改めて見つめ直すというもの。画家レンブラント・ファン・レインの波乱に満ちた人生に“文字通り”自らを重ね、作家とその周囲の関係を自作の中で明らかにする試みは、人生の明暗、光と闇など、現代社会に生きる我々にも通じる問題のようにも思われる。いまや日本の現代美術を代表する美術家の一人となった森村泰昌。その原点とも言える伝説の個展を堪能して欲しい。

 

森村泰昌氏

 

三島由紀夫の市谷駐屯地での演説をモチーフにした映像作品

 

館内のトイレを作品化した常設インスタレーション「輪舞(ロンド)」(1994年)も、新たな装いでお目見え

 

※今展と同時期に、東京・資生堂ギャラリーにて「LAS MENINAS RENACEN DE NOCHE 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」(9月28日~12月25日)、アメリカ ピッツバーグのザ ウォーホルにて「Yasumasa Morimura: Theater of the Self」(10月6日~2014年1月12日)を開催。

 

【会期】 2013年10月12日(土)~12月23日(月・祝)

【会場】 原美術館 (東京都品川区北品川4-7-25)☎03-3445-0651

【休館】月曜、祝日のとき翌日

【開館時間】 11:00~17:00 (水曜は20:00まで、入館は閉館時刻の30分前まで)

【料金】 一般1,000円 大高生700円 小中生500円

 

【関連リンク】 原美術館

 

【関連ページ】

コラム:「ときの人 美術家 森村泰昌さん

展覧会:「LAS MENINAS RENACEN DE NOCHE 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」(資生堂ギャラリー)

ニュース:「ヨコハマトリエンナーレ2014、アーティスティック・ディレクターに森村泰昌氏」

 

「新美術新聞」2013年11月1日号(第1327号) 4面より

 


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