[ときの人] 美術家 森村泰昌さん

2013年12月06日 19:45 カテゴリ:コラム

 

 

撮影:川島保彦

芸術がある意味を 芸術である意味を

 

 

ヨコハマトリエンナーレ2014のアーティスティック・ディレクターに就任した。「観た人の世界認識が変わってしまうような、本格的な展覧会を目指している」と意気込む。

 

近年、各国で大型の国際展が開催されているが、「単に大きい、お祭り騒ぎのようなものが多い。このままでは芸術の価値が下落してしまう」とその風潮には批判的だ。「作品と向き合い、考えること。それが芸術鑑賞であり、面白さだと僕は思う。楽しいだけであってはいけない」。作品制作を通じて、歴史に残る数々の絵画に、人物に“なりきってきた”ゆえの言葉だろう。今だからこそ、芸術の催しである意味というものを問わねば。自らの役割を果たす強固な意志が、落ち着いた口調ににじむ。

 

現在は、原美術館、資生堂ギャラリー、そして米ピッツバーグのザ・ウォーホルでの個展が開催中だ。会場の都合で会期が重なり、直前まで作品制作に追われた。しかし「この偶然の巡りあわせがとても嬉しかった」と柔らかな笑顔を見せる。過去に眼差しを送る個展、その歩みを辿る個展、未来を予感させる個展。3つの個展はいずれも好評のよう。しかし、トリエンナーレまで1年を切った今、一息つく時間などない。62歳。目指すべき形のために、やるべきことが山積している。

 

 

「新美術新聞」2013年12月11・21日号(第1331号)1面より

 

【関連リンク】

展覧会:「森村泰昌―レンブラントの部屋 再び」 (原美術館)

展覧会:「LAS MENINAS RENACEN DE NOCHE 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」(資生堂ギャラリー)

the Andy Warhol Museum「Yasumasa Morimura: Theater of the Self

 

 


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