建物を「切断」する、ゴードン・マッタ=クラークのアジア初回顧展が開幕

2018年06月22日 17:13 カテゴリ:最新のニュース

 

《スプリッティング》1974年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵 © The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

《スプリッティング》1974年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵 © The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

 

1970年代にニューヨークを中心に活躍し、35歳で夭折したアーティスト、ゴードン・マッタ=クラーク(1943-78)のアジア初回顧展が、東京国立近代美術館で開催されている。

 

その代表作は、取り壊し前の建物を切断し、見慣れた日常を新たな空間・時間へと変容させる「ビルディング・カット」シリーズ。近代以降、多くの人々が故郷(ホーム)としての住居をもたず、転々と移り住むことを余儀なくされている中で、マッタ=クラークは建築のスタイルではなく人が「住まう」経験に着目。再開発のなかで建物が取り壊されていくプロセスに介入し、家屋の床や壁を切り取り、穴を穿つことで、捨てられた空間に新たな光を当て、そこに住んでいた人々の歴史や記憶をも浮かび上がらせた。

 

作品の多くが個人蔵や欧米の著名美術館(メトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館、ポンピドゥー・センターほか)所蔵のため、これまでアジアではまとまった形で紹介される機会が無かったが、軽やかでクール、そしてポエティックなその活動は、没後40年を経た今日もなお世界中で高い人気を集めている。2017年にはポルトガル、ドイツ、アメリカで個展が開かれ、2018年には今展のほかフランスで、2019年にはエストニアで個展が開催予定。

 

今回は、彫刻・映像・写真・ドローイング・関連資料など約200点を展観。都市のエネルギーを可視化するようなストリート・アートや、アーティストによる食堂「フード」の経営など、その多面的な活動を紹介する。また70年代ニューヨークの文化的、社会的背景を示す資料や、現在の東京に関わる資料などを組み込むことで、マッタ=クラークの実践の今日的意味を考える。

 

中でも大きな見どころは、「ビルディング・カット」シリーズ最大規模の立体作品で、今回初来日となる《スプリッティング:四つの角》(サンフランシスコ近代美術館蔵)。相次ぐ地震で建物が倒壊し、「住まう」ことの意味を考えさせられる現在の日本において、同作は一体どのように映るのだろうか。また近年日本各地で多数開催されている、取り壊し前の建物を舞台としたアートプロジェクトも、マッタ=クラークの系譜の一つとして捉えることができるかもしれない。このタイミングで彼の活動が紹介される意味を考えながら、貴重な作品群を堪能してほしい。

 

《スプリッティング:四つの角》1974年 サンフランシスコ近代美術館蔵 San Francisco Museum of Modern Art, Purchase through a gift of Phyllis C. Wattis, The Art Supporting Foundation, the Shirley Ross Davis Fund, and the Accessions Committee Fund: gift of Mimi and Peter Haas, Niko and Steve Mayer, Christine and Michael Murra; Photo: Ben Blackwell; Courtesy the San Francisco Museum of Modern Art.

《スプリッティング:四つの角》1974年 サンフランシスコ近代美術館蔵 San Francisco Museum of Modern Art, Purchase through a gift of Phyllis C. Wattis, The Art Supporting Foundation, the Shirley Ross Davis Fund, and the Accessions Committee Fund: gift of Mimi and Peter Haas, Niko and Steve Mayer, Christine and Michael Murra; Photo: Ben Blackwell; Courtesy the San Francisco Museum of Modern Art.

 

ゴードン・マッタ=クラーク Photo: Cosmos Andrew Sarchiapone © The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

ゴードン・マッタ=クラーク Photo: Cosmos Andrew Sarchiapone © The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

 

《グラフィティ:ソウル・パワー》1973年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵 © The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

《グラフィティ:ソウル・パワー》1973年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵 © The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

 

《日の終わり》1975年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵 © The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

《日の終わり》1975年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵 © The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

 

《ニューヨーク近代美術館のためのプロポーザル No.4》1978年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵 © The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

《ニューヨーク近代美術館のためのプロポーザル No.4》1978年 ゴードン・マッタ=クラーク財団&デイヴィッド・ツヴィルナー(ニューヨーク)蔵 © The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.

 

【展覧会】ゴードン・マッタ=クラーク展

【会期】2018年6月19日(火)~9月17日(月・祝)

【会場】東京国立近代美術館本館1F 企画展ギャラリー(東京都千代田区北の丸公園3-1)

【TEL】03-5777-8600(ハローダイヤル)

【休館】月曜(ただし7月16日、9月17日は開館)、7月17日(火)

【開館】10:00~17:00、金・土曜は21:00まで(入館はそれぞれ閉館30分前まで)

【料金】一般1,200円 大学生800円 高校生以下および18歳未満無料

 

《チケットプレゼント》

同展の招待券を5組10名様にプレゼントいたします。メールのタイトルに「ゴードン・マッタ=クラーク展チケットプレゼント」とご記入の上、①郵便番号・住所 ②氏名 ③年齢 ④職業 ⑤当サイトへのご意見 ⑥今後当サイトで取り上げてほしいコンテンツ を以下のメールアドレスまでお送りください。

present@art-news.co.jp

締切:6月29日(金)必着

 

【関連リンク】東京国立近代美術館

 


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