【岩田屋三越】彩刻 坂口健 作陶展

2014年12月01日 15:44 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

 

長野県東御市に制作拠点を置く陶芸家・坂口健の福岡・岩田屋三越美術画廊で2度目となる個展が開催される。

 

坂口は1973年長野県生まれ。96年に明星大学陶芸専攻を卒業し、97年に東御市に築窯した。2005年の初個展を皮切りに髙島屋や三越を中心に毎年個展を開催。今展では独創的な紋様に生命感溢れる色彩の彩刻作品を中心に壺・花器、食器等を展示する。(下記に関連エッセイ掲載)

 

 

 

エッセイ「願い」

 

何度か訊かれた質問がある。「これからの夢、目標、どうなっていきたい?」答えは、「とにかく穏やかな日常の中で普通に制作をし続けたい。」今から7年前、突然母を事故で亡くした。「行ってくるね。」「気をつけてね。」さっきまで普通に会話をしていたのに。時が経つごとに悲しみは増すばかりだった。人が入ってこない工房は安心して泣ける唯一の場所になっていた。土を練り、一息ついた途端に涙は溢れ、気づくとロクロができずに寝ている。深い悲しみの中、制作に向き合えない状態は何カ月も続いた。

 

そんなある日、学生時代の親友が訪ねて来た。その時に言われた一言が作品に取り組む姿勢へと繋がっている。「今のボロボロな気持ちのまま、どうしようもない気持ちのまま、ダメな作品を作ってよ。後々それが名品だって言われるかもしれないしさ。」様々な感情を土に込め形に残していこう、そう決意した。作品が良くも悪くも、変わる事が大切になった。多くの人の支えと励ましがあり、再び制作に向き合い始めた。 あれから数年、結婚し家族が出来た。今日もロクロの隣で3歳の息子が粘土遊びをしている。手伝うと言いながら。工房はいつの間にか落ち着かない空間になっていた。悲しみより笑顔、それがいい。かけがえのない瞬間、想いを土に込めて。今の作品は幸せの中で生まれている。

 

【会期】12月2日(火)~8日(月)

【会場】岩田屋三越美術画廊(福岡市中央区天神2-1-1 福岡三越9階) TEL 092-724-3111

【休廊】無休

【開廊】10:00~20:00(最終日は17:00まで)

【料金】無料

【巡回】日本橋髙島屋 2月18日(水)~24日(火)

【関連リンク】福岡三越

 

 


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