世界に広がる社会派アートの現在形を紹介
ママリアン・ダイビング・リフレックス 子どもたちによるヘアカット 2006 トロント(カナダ)他
美容師から講習を受けた10歳~12歳の子どもたちが、大人たちに無料のヘアカットサービスを提供するプロジェクト。子どもたちに、創造的な決定のできる個人としての、責任と自信を持たせることを目的としている。
特定非営利活動法人アート&ソサイエティ研究センターが日本でこれまでほとんど知られることがなかった海外のソーシャリー・エンゲイジド・アート(Socially Engaged Art)を紹介する初の試み、「リビング・アズ・フォーム(ノマディック・バージョン)」を開催する。
ソーシャリー・エンゲイジド・アートとは、アートワールドの閉じた領域から脱して、現実の世界に関わり、人びとの日常から既存の社会制度まで、何らかの“変革”をめざすアーティストたちの活動を総称するもので、参加・対話のプロセスを含む、アクティブで多様な表現活動。1990年代初頭から米国を中心として活発化し、現在では世界中に拡大している。今展は世界各地で実践されているソーシャリー・エンゲイジド・アートを紹介することで、日本のアートプロジェクトをめぐる議論を活発化し、改めてその社会的意味や方法論を考えるきっかけになることを意図して開催される。
アローラ&カルザディラ チョーク 1998~2002 リマ(ペルー)他世界各地
公共広場に1.5メートルの巨大なチョークを置き、通行人にそのかけらを使って、ドローイングから政治的な主張まで自由に書いてもらうプロジェクト。リマの政府ビル前の広場では、政府への憤懣や失望が多く書かれた。
今展はニューヨーク市を拠点として過去40年にわたって、社会と関わるアート活動をプロデュースしてきたNPO「クリエイティブ・タイム(Creative Time)」が、2011年秋に、世界のソーシャリー・エンゲイジド・アートをテーマに、Nato Thompsonのキュレーションによってニューヨーク市で開催した展覧会「リビング・アズ・フォーム(Living as Form)」の巡回展(縮小版)であり、東京が世界最後の開催地になる。いま世界で一つの潮流となっているソーシャリー・エンゲイジド・アート。オリジナル展で紹介されたプロジェクトから代表的な11例を選び、動画やパネル展示等によって社会的実践としてのソーシャリー・エンゲイジド・アートのチャレンジ・パワーを紹介する。
アイ・ウェイウェイ フェアリーテイル:1001人の中国人訪問者 2007 カッセル(ドイツ)・中国
ドイツのカッセル・ドクメンタ12のため、1001人の中国人を中国から連れてくることを計画。それを実行しその様子を記録した作品。海外へ渡航するまでの困難なプロセスを通じて個人や国の状況をあぶり出す。
写真提供:CREATIVE TIME ICI
参加作家/プロジェクト名
アパルショップ/千の凧
テレルヴォ・カルレイネン&オリヴァー・コフタ=カルレイネン/不平合唱団
アローラ&カルザディラ/チョーク
スザンヌ・レイシー/ルーフ・イズ・オン・ファイア
ママリアン・ダイビング・リフレックス/子どもたちによるヘアカット
リック・ロウ/プロジェクト・ロウ・ハウス
ウィメン・オン・ウェイブ/中絶船プロジェクト
バスラマ/廃棄物プロジェクト
ヴィック・ムニース/ゴミ絵画
アイ・ウェイウェイ/フェアリーテイル:1001人の中国人訪問者
ヴォッヘンクラウズール/ホームレスのための医療バン
【会期】11月15日(土)~28日(金)
【会場】3331 Arts Chiyoda B104号室(東京都千代田区外神田6-11-14)
【休館】会期中無休
【開場】12:00~19:00(最終日は16:00まで)
【料金】無料
【関連リンク】特定非営利活動法人アート&ソサイエティ研究センター