【平塚】 絹谷幸二展〈インタビュー前編〉

2013年04月13日 11:54 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

「希望のイメージ 絹谷幸二展」、4月13日より平塚市美術館で開催 

 

 アフレスコ画の第一人者として活躍しながら、社会・教育活動にも尽力する画家・絹谷幸二さん(1943年奈良市生まれ、日本藝術院会員、独立美術協会会員、大阪芸術大学教授・美術学科長)。4月13日(土)より、神奈川県の平塚市美術館で、これまでの画業を振り返る個展が開催される。今展では東京藝術大学卒業制作の自画像や、新発見となる作品模写を含むイタリア留学時代の作品から、最新作「古事記エスキース」まで約30点を展覧する。開催地である平塚にまつわる思い出から教育問題、古稀をむかえた心境まで幅広くお話をうかがった。

 

 

―平塚とのゆかりについて

 

絹谷 私の師匠である鳥海青児先生の生まれ故郷が平塚なんです。それでいつも、平塚には学生の頃からよく通っていました。この絵(「ピエロ・デラ・フランチェスカ作品模写」)も鳥海先生に持っていただいていたんですけど、先生の死後、平塚市美術館に寄贈されています。

 

「ピエロ・デラ・フランチェスカ模写」 1973年頃

「ピエロ・デラ・フランチェスカ作品模写」 1973年頃

私は奈良という、歴史が非常に濃厚な場所に生まれました。当時の平塚は、鎌倉とも小田原とも違った、加山雄三がオープンカーで駆け回るような「湘南」のイメージで、私の世代からすると憧れなんですね。湘南の道はキラキラと光っていてすごく素敵なところだった。その平塚の海で、地引網や魚釣りをしたり、(画家の)平賀敬と台風の後に奇石が打ち上げられているのを拾いに行ったり、非常に思い出の多い地なんです。

 

その後、私がヴェネチアに行って海を見たときに、そういう光と海のきらめきが心の中に映って、私の絵画の一方の原風景ができあがったのではないか。つまり、青い空、きらめく陽光、色彩に満ちあふれた新しい世界です。

 

奈良が歴史ある古い場所であるとすれば、湘南の地は新しいキャンバスというようなイメージですね。なにせ奈良というところは山ですので、海に憧れたんですよ。

 

それともう一つ、伊勢から夏至の太陽の位置を見ると、富士があってその下に平塚があるという感じです。平塚とか相模とか大和とかあるでしょう?あのラインは、大山という山が背後にあるわけです。あそこから水が流れてきて、それがいい傾斜をもって海に入っていくわけです。その傾斜地というか平野が、やはり奈良時代の人たちは稲作を持ってきた人たちですから、憧れの新しい地だったと思うんです。 

 

 

-展覧会のみどころについて

 

「銀嶺の女神」1998年

「銀嶺の女神」1997年

絹谷 今回は僕の今まで描いてきた世界が、若い頃から今日まで一堂に並びますので、どんな足跡を歩んできたか、ということがわかればいいなと思っています。主なところは「きらめく光」ということで、ヴェネチアに行った私と、湘南の光が非常によく響き合ったんじゃないか、という感じが伝わったらと。

 

この作品(「銀嶺の女神」)は(長野)冬季五輪のポスターの原画なんですけど、クーベルタン男爵が最初に言ったオリンピックの趣旨は、《スポーツと芸術の祭典》なんですね。今はスポーツばかり脚光を浴びていますけれども、こういうポスターも、芸術というものの所在を知ってもらいたいということで、描かせていただいたんです。サマランチ(当時のIOC会長)がこの絵を欲しい、いくら高くてもいいと言ったんですけれども、僕はノーサンキューと言って手放さなかったんです。今も僕が持っているんですけども、レオナルド・ダ・ヴィンチが「モナ・リザ」の絵をずっと持っていたというのと、ちょっと似ているかもしれない。手放したくない絵というのはあるんです。そのうちの1つが今回出ていますので、ぜひ見ていただきたいと思います。 (後編に続く)

 

 

【関連記事】  【平塚】 絹谷幸二展〈インタビュー後編〉

 

 

 

会場風景

会場風景

希望のイメージ 絹谷幸二展

【会期】 2013年4月13日(土)~6月2日(日)

【会場】 平塚市美術館(神奈川県平塚市西八幡1‐3‐3) ☎0463‐35-2111

【開場時間】 9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)

【休館】 月曜(祝休日は開館)、4月30日(火)

【料金】 一般200円 大高生100円 

※中学生以下・毎週土曜日の高校生、障害者手帳をお持ちの方と付添1名は無料

 

 

<講演会> 講師:絹谷幸二 4月29日(月・祝) 14:00~15:30 申込不要、先着150名

<学芸員によるギャラリートーク> 4月13日(土)、5月4日(土)、6月2日(日) 14:00~15:00 要観覧券

<ワークショップ>「絹谷幸二のパワー絵画塾」 5月25日(土) 13:30~16:00 小中学生対象、定員20名

 

【関連リンク】 平塚市美術館

 

 

 

 

 

 


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