【名古屋】 円山応挙展―江戸時代絵画 真の実力者―

2013年03月05日 13:24 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

「藤狗子図」 天明年間(1781-89)

江戸時代中期に活躍し、京都画壇の礎を築いた円山応挙(1733~95)。「写生」を軸とした画風で今日でも多くの人びとに親しまれるとともに、円山派の祖として近代日本画を準備したことから、日本絵画史上においても要となる存在である。今展では、展覧会初公開作品を含む代表作を通じて、応挙が追求し続けた絵画的テーマである「リアルさの表現」の展開をダイナミックにみせている。

 

応挙は、画業初期から現実的なものの見え方を意識し、西洋由来の観相学や、中国絵画を通じて徹底して写生を学んでいる。全5章で構成される今展の前半部では、西洋の遠近法を用いて描いた「眼鏡絵」や、中国絵画に学んだ写生の技法が息づく山水画、写生帖を展覧している。

 

後半部では、視覚的リアリティをめぐる応挙のテーマと技量の深まりがみえてくる。見どころは、会場に再現した兵庫県大乗寺の障壁画だ。壁面の形状をいかし、図像と現実空間との連続性を表現した応挙の神髄を全身で体感できるだろう。さらに国宝「雪松図屏風」(前期展示)をはじめ、視覚表現の深化が窺える優品が並ぶ。最終章では、同時代人からみた応挙観や、山元春挙や竹内栖鳳といった後世への影響を紹介。中国や西洋の絵画を吸収しながら、革新的な表現に挑んだ応挙の偉業をあらためて堪能してほしい。

 

 

 

「牡丹孔雀図」 1774(安永3)年

開館20周年記念

円山応挙展―江戸時代絵画 真の実力者―

【会期】 2013年3月1日(金)~4月14日(日) ※3月26日(火)より後期展示

【会場】 愛知県美術館(名古屋市東区東桜1-13-2 )

☎052-971-5511

【開館時間】 10:00~18:00 金曜は20:00まで (入館は閉館30分前まで) 【休館】 月曜

【料金】 一般1300円 高大生1000円 中学生以下無料

【関連リンク】 愛知県美術館

 

 

「新美術新聞」2013年3月11日号(第1306号)4面より

 


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