現代写真のキーパーソン ヴォルフガング・ティルマンス、国内美術館で11年ぶり個展開催

2015年07月02日 09:23 カテゴリ:最新のニュース

 

近作・新作中心に200点近く出品

 

 

ドイツに生まれ、現在はベルリンとロンドンを拠点に国際的に活躍している写真家ヴォルフガング・ティルマンス(1968年生まれ)が日本の美術館で11年ぶりとなる個展「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」を開催する。

 

ティルマンスは自身を取り巻く日常的な光景をとらえた写真で1990年代初頭から注目を集め、雑誌『i-D』や『Interview』への掲載でもよく知られるようになった。ティルマンスが撮影対象とした特徴的なモチーフは、街頭の若者や身近な友人たちのポートレート、またセクシュアリティーやジェンダーといった今日的なテーマへの問いかけなどが知られ、私的な部分と社会的な要素が混在したものが見受けられた。以来、そのときどきの時代の精神を写真によってつかみ取ろうとするティルマンスの姿勢は、不変のものとして常に見いだすことができる。

 

また、プリントされたメディアを折り曲げたりねじったりすることで作られたものや、暗室で生み出された抽象イメージもある一方、強いインスタレーション性をもった展示手法をとることでも知られており、展示空間を強く意識し、異なるサイズの写真を、額装を施さずにまるでイメージが泳ぐがごとく自由に展示する斬新なインスタレーションは、大きな衝撃を与えた。

 

 

近年、写真集『Neue Welt』(新しい世界)を発表したティルマンスは、世界各地で発生している事象や、世界を旅する途中に彼の視線の先がとらえた場面を、イメージの群として露にし、政治経済の問題や技術の進歩という、この地球上で繰り広げられている様々な出来事に対する自身の見解を示すことを試み、新たな展開を見せた。

 

2000年にはイギリスのターナー賞を受賞し、今年に入ってからは偉大な業績を上げた写真家に贈られるハッセルブラッド国際写真賞の受賞も決定するなど、ティルマンスは現代写真表現のフロントランナーとして多大な影響を与え続けている。

 

今展は日本の美術館では 2004年に東京オペラシティ アートギャラリーで開催されて以来、11年ぶりとなる個展。国立国際美術館のためにティルマンス自身がデザインした展示空間において、日本初公開となる多数の写真作品や、昨年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で発表され大きな反響をよんだ2台のプロジェクションによる《Book for Architects》といった映像インスタレーション、またこれまでに出版された写真集を全て展示するなどティルマンスの現在を浮き彫りにする内容となっている。

 

 

 

 

 

 

 ※画像は全て参考図版

 

【会期】2015年7月25日(土)~9月23日(水・祝)

【会場】国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)

【TEL】06-6447-4680

【休館】月曜、ただし9月21日(月・祝)は開館

【開館】10:00~17:00 (金曜は19:00まで、入場は閉館30分前まで)

【料金】一般900円、大学生500円

【関連リンク】国立国際美術館

 

■アーティスト・トーク

【日時】7月25日(土) 14:00~

【講師】ヴォルフガング・ティルマンス

【会場】国立国際美術館 地下1階講堂

【料金】無料 ※逐次通訳有

【定員】100名 ※当日10:00から整理券を配布。

 

■ギャラリー・トーク

【日時】8月2日(日)、9月13日(日) 14:00~

【講師】植松由佳(国立国際美術館 主任研究員)

【会場】国立国際美術館 地下2階展示室

【料金】無料(要観覧券)

※当日13:30から聴講用ワイヤレス受信機を貸し出し(先着90名)

 

 


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