構想から34年「大阪新美術館」ついに実現へ、設計者に遠藤克彦建築研究所

2017年02月20日 14:13 カテゴリ:最新のニュース

 

 

大阪市(吉村洋文市長)は2月9日、2021年度に開館を目指す大阪新美術館(仮称)の設計業者に遠藤克彦建築研究所(東京都品川区)を選出したことを発表した。構想から30年超、いよいよ美術館の実現に向けて動き出す。

 

美術館構想は、1983年に大阪の実業家・山本發次郎(1887~1951)が蒐集した佐伯祐三作品を中心とするコレクションが同市に寄贈されたことから浮上し、88年に市制100年を記念して建設計画が発表。一時は市の財政難から計画が凍結状態となったが、2013年に中之島に美術館を建設することが決定された。質量ともに日本一を誇る佐伯祐三作品をはじめ、吉原治良ら具体美術協会、モディリアーニ、リヒターら国内外の近現代美術4900点のコレクションがこれまでに形成されている。

 

68件の提案書より選ばれた遠藤克彦建築研究所のプランは、地上5階建てで、ガラス張りの1、2階の上に1辺約60メートル、高さ約22メートルの黒い直方体が乗った浮遊感のあるデザイン。パッサージュを美術館のスパイン(背骨)と位置付けるとともに、展示ホール、ホワイエ、さらには屋外空間であるアートデッキもパッサージュの一部ととらえ、1~5階まで連続する吹き抜け空間を介して立体的につながることで、「さまざまな人と活動が交錯する都市のような美術館」を提案している。

 

 

建物は1階をカフェ、レストラン、講堂など、2階をコミュニケーションエリア、3階を保存研究エリア、4~5階を展示エリアとし、展示室内には柱を設けず、展示計画の自由度を最大限確保する。また、建物外周にアートデッキを配置し、地上レベル、デッキレベル双方で各方面からのアクセスができるよう計画されており、その存在感のあるデザインとともに、まちの回遊性の向上に資する提案が高く評価された。

 

2018年度中に基本設計・実施設計を行い同年度末までに着工、2021年度での開館を目指す。

 

【関連リンク】Artrip Museum 大阪新美術館コレクション 遠藤克彦建築研究所

 


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