オルセー美術館に195億円相当の寄贈、ナビ派等のコレクションが強化

2016年12月01日 10:43 カテゴリ:最新のニュース

 

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10月21日、オルセー美術館はアメリカ人夫妻が収集したフランス絵画187点の寄贈を正式に受け、ヴュイヤール、ボナールの名品を含むナビ派の動きを語る重要作品などが同館のコレクションに加わることになった。その価値は総額で約1億7300万ユーロ(約195億円)に相当、フランスの戦後史上外国人による寄贈では最高のものになる。

 

寄贈したのは実業家のスペンサー・ヘイズ(Spencer Hays)氏と妻・マーリーン(Marlen Hays)さんでともに80歳、夫妻は結婚60周年を迎えた。服飾ビジネスで富を得た同氏は1970年代にアメリカ絵画の収集を始め、やがてマーリーン夫人とともに19世紀末やベルエポック期のフランス作品の収集に情熱を燃やすようになった。

 

夫妻と同館館長でナビ派などを専門とするコジュヴァル氏(現オルセー美術館館長)が出会ったのは2001年。当時コジュヴァル氏はヴュイヤール展の準備にとりかかり、そのカタログ・レゾネを執筆していた。夫妻のコレクションの扱いについて、夫妻と同氏は長年にわたり話し合いを重ねた結果、子孫に遺すことや、コレクション収蔵に向けてアメリカに財団を創ることよりも、夫妻のコレクションの故郷であるフランスに寄贈することが選ばれた。

 

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オルセー美術館は既に2013年4~8月に夫妻のコレクションを紹介する「フランスの情熱」展を開催。同館が所蔵するヴュイヤールのパネル作品「公園」5枚に新たな1枚を加えたほか、ルドンやボナールの作品も展示した。今回の寄贈は、同展での出品作とほぼ重なるものだ。

 

夫妻はほかに600点余り、総額3億5000万ユーロ(約395億円)に相当するコレクションを有し、作品は増え続けている。これらもオルセー美術館への寄贈が予測され、コジュヴァル館長は「夫妻は、オルセー美術館(フランス)がコレクョンを決して売却しないことをご存じである」と述べている。

 

オルセー美術館は、現在書類が占拠する約900㎡のスペースを夫妻などのコレクションの展示室に充てることを既に決めたほか、将来ナビ派の研究センターを組み込むことも視野に入れている。

 

【関連リンク】オルセー美術館公式サイト

 


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