【レポート】 文化関係資料のアーカイブに関する有識者会議開かれる

2014年06月23日 15:45 カテゴリ:最新のニュース

 

現状、課題を踏まえ 総合的な推進方策を検討

座長に高野昭彦・国立情報学研究所教授を選出

 

「文化関係資料のアーカイブに関する有識者会議」(第1回)が6月3日、文部科学省で開かれた。

 

会議が設置された趣旨は、わが国の文化関係資料のアーカイブに関する現状、課題を踏まえ、中長期的な視点を含めた取り組みの総合的な推進方策を検討するためだ。この日出席した青柳正規・文化庁長官は「このアーカイブをどう作るかがこれからの日本の文化政策、振興のために非常に大きな役割を果たす」と意気込みを示した。美術、文化財、建築、図書、デザイン、漫画などの各分野専門家10名が委員に選ばれた。

 

文化関係資料のアーカイブに関する有識者会議(第1回)

文化関係資料のアーカイブに関する有識者会議(第1回)

 

戦後の1949年、法隆寺金堂が焼けた事を契機に文化財保護法が施行され(50年)、文化財保護委員会ができ日本の文化財保存が本格的に動きだした。その後、文化財のほうではかなり精密な組織制度が整い、今日に至っている。それと同時に外局として文化庁が生まれ、『文化芸術振興基本法』がつくられた経緯がある。

 

この法案の提案理由として「文化芸術活動を行う者の自主性や創造性の尊重、国民の文化芸術の鑑賞・参加・創造の環境整備。そしてわが国や世界の文化芸術の発展、多様な文化芸術の保護および発展、各地域の特色ある文化芸術の発展、文化芸術にかかわる国際交流、貢献の推進、それから国民意見の反映」等が基本的な理念である。

 

青柳長官は特に「国民のための環境整備の中に、このアーカイブが一番大切な基盤になる。しかし様々な分野でアーカイブの在り方や何をアーカイブしていくのか等がそれぞれ大きく違ってきている。各分野で最も適切なアーカイブ作りが何かをご教示いただきたい。その整備こそわが国の文化芸術創造の担保になる」と強調した。また来年度の概算要求の反映に向け、夏までの中間報告を要請した。

 

■有識者委員10名は次の通り。(◎は座長)

柏木博(武蔵野美術大学教授)

川口雅子(国立西洋美術館情報資料室長)

杉本重雄(筑波大学図書館情報メディア系教授)

高野明彦(国立情報学研究所)◎

田中淳(東京文化財研究所企画情報部長)

竺覚暁(金沢工業大学ライブラリーセンター館長、建築アーカイヴス研究所所長教授)

中山正樹(国立国会図書館総務部司書監)

原研哉(㈱日本デザインセンター代表取締役・原デザイン研究所所長)

深澤直人(プロダクト・デザイナー)

吉村和真(京都精華大学マンガ学部教授・学部長、国際マンガ研究センター長)

 

「新美術新聞」2014年6月21日号(第1347号)3面より

 


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