【広尾】 富士と桜と春の花

2014年04月07日 11:10 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

雄大な富士山と清々しい花々の競演

 

奥村土牛「吉野」1977年 紙本・彩色 山種美術館蔵

 

 

千住博「夜桜」2001年 紙本・彩色 山種美術館蔵

山種美術館では、昨年6月に決定した富士山のユネスコ世界文化遺産登録を記念して、富士山を描いた作品を中心に、桜や春の花を加えた展覧会が開催されている。

 

この度の富士山のユネスコ世界文化遺産登録は、地形の美や地質学上の意義に注目する自然遺産ではなく、信仰の対象と芸術の源泉としての文化遺産として登録されたことに大きな意義があるとされる。富士山は、古来日本を象徴する霊山として信仰の対象であり、万葉の時代から現代に至るまで、数多くの詩歌に詠われると共に絵画などの芸術作品を生み出してきた。

 

今展では、第一章「富士山」として、多くの画家たちにインスピレーションを与え続けてきた富士山を描いた作品を、4つの切り口によって紹介している。

 

片岡球子「めでたき富士」1991年 紙本・彩色 東京美術倶楽部東美ミュージアム蔵

「日本画にみる富士」では、近代、現代の日本画家たちが描いた富士山を紹介する。吉祥の画題としてだけでなく、近代的で写実的な作品や画家の心象風景としての富士など、伝統的な技法や従来の崇高な霊峰としてのイメージにとらわれず、さまざまなアプローチで描かれた富士が見られる。

 

「名所絵のなかの富士」では、中世以降、名所絵や山水画の主題として人気を博した富士を紹介する。古代より定型となっていた三峰型の富士の図像(富士山頂を三つの山型に分けて描く伝統的な富士山の描き方)を用いている作品も見受けられ、中世から近世、近代へと描きつがれてきた富士の諸相が見られる。

 

「富士を仰ぎみて」では、一大都市として発展していった江戸から遠く富士を見て暮らしていた庶民と富士のかかわりについて、浮世絵を中心に見ていく。「富士と桜と春の花」では、富士とともに庶民が花見に興ずる姿を捉えた浮世絵が見受けられるようになる江戸後期の作品、および近代、現代の作品で、富士と桜、富士と梅など、富士と桜と春の花を題材に描いた作品を紹介している。

 

第2章の「花の宴」では、吉野や醍醐寺などの名所の桜を描いた作品や人々の営みと共に描かれる桜の作品に加え、中国では「花の王」とも称される牡丹や桃の花、春の花を描いた作品が展示される。

 

日本人の心のよりどころと美意識のルーツともいえる富士山と桜、そして牡丹をはじめとする清々しい春の花が展示を彩っている。

 

葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」1830年頃 大判錦絵 山種美術館蔵

 

【会期】 3月11日(火)~5月11日(日) (一部展示替、前期:3月11日~4月13日、後期:4月15日~5月11日、浮世絵展示Ⅰ期:3月11日~30日、Ⅱ期:4月1日~20日、Ⅲ期:4月22日~5月11日)

【会場】 山種美術館(東京都渋谷区広尾3-12-36)☎03-5777-8600(ハローダイヤル)

【休館】 月曜(但し4月28日、5月5日は開館、5月7日は休館)

【開館時間】 10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)

【料金】 一般1200円 大高生900円 中学生以下無料

【関連リンク】 山種美術館

 「新美術新聞」2014年3月21日号(第1339号)1面より

 


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