【画材考】洋画家:鳥飼規世「終わらない旅」

2022年03月29日 10:00 カテゴリ:コラム

種々様々な”白”の油絵具たち

種々様々な”白”の油絵具たち

 

人見知りだった子供時代、家で黙々と絵を描くのが好きだった。

 

宝物はクレヨンや色鉛筆。朱色と青が半分ずつの色鉛筆も好きだったが、欲を言えば赤がもう少し紅色だったらいいのにと生意気に考えていた。

 

文房具屋で緑色のボールペンを初めてみた時は衝撃的だった。違うメーカーのものを試し書きしてみる。エメラルドがかった緑色も、濃いビリジアン系も捨て難く、少ないお小遣いをはたいて全部買って帰ったら「緑のボールペンばかりどうするの?」と、母に叱られた。

 

(左)《アネモネI》 油彩 130.3×80.3cm 第47回現代童画展・会友作家賞 (右)《アネモネII》 油彩 130.3×80.3cm 第47回現代童画展・会友作家賞

(左)《アネモネI》130.3×80.3cm 油彩 
(右)《アネモネII》130.3×80.3cm 油彩

 

 

そんな幼い頃からの色に対する興味が今の自分を形成したのだと思う。

 

絵の道に進むにつれて、微妙な色を追い求めて増えていく画材。どんな画材が表現に向いているのか模索しながらなので、色鉛筆、パステル、透明水彩にインクと限りがない。やっと落ち着いたと思ったアクリル絵の具も、求めるブルーが表現しきれず、今まで避けてきていた油彩に転向することとなる。

 

油絵具はご存知の通り、顔料による混色の禁忌や、溶剤の種類の多さなど、今まで触れてこなかった自分にはとても興味深い。

 

中でも最近〝白〟について使い分けるのが面白い。パーマネント、チタニウム、ジンク、シルバー、トランスペアレントにイリデッセント。一体何色あるのだ? いや、全部白なのだが。毎回作品を描きながらぶっつけ本番の研究である。

 

緑のボールペンに始まって、僅かな違いを探る旅はこれからも続くのだ。

 

《吉祥》 油彩 45.5×53.0cm

《吉祥》45.5×53.0cm 油彩

 

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鳥飼 規世(とりがい・のりよ)

鳥飼規世氏

鳥飼規世氏

1963年東京都生まれ。多摩美術大学デザイン科グラフィック専攻卒業。

2018年、第44回現代童画会在日セルビア共和国大使館賞。

2021年、第47回現代童画会会友作家賞。現在、現代童画会会員。

3月31日(木)~4月6日(水) 時の共有~異世界の融合~(銀座・美の起源)

5月2日(月)~8日(日) 現代童画会受賞作家展(銀座アートホール)に出品予定。

 

【関連リンク】TN ART STUDIO:アーティスト・鳥飼規世のホームページ

 


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