[ときの人] 原田マハさん 小説家

2012年09月14日 18:41 カテゴリ:コラム

 

 

撮影 : 川島保彦

ルソーを題材に満を持してのアート・ミステリー

 

素朴派の巨匠アンリ・ルソー(1844~1910、フランス)作品の真贋をめぐる鑑定ミステリー小説『楽園のカンヴァス』(新潮社)にて第25回山本周五郎賞を受賞した。

 

原田さんは、大卒後、独学で現代アートを学び、原宿にあった私立美術館に就職。展示、蒐集品管理、広報、受付と美術館業務をひと通り経験する。その後伊藤忠商事でアート・文化に関するコンサルティングに従事、その際出会った森ビル・森稔社長に見出され、森美術館の構想に参画。早稲田大で学芸員資格を取り、森美術館の設立準備室に在籍した。

 

同館よりニューヨーク近代美術館(MoMA)へ半年間の派遣も果たし将来を嘱望された人物。以後アート関連の仕事を経て小説家として独立、これまで20作以上の小説を発表してきたが、嘗ての専門分野、アートを題材にした長編小説は本作が初めて。

 

『楽園のカンヴァス』表紙

「アートは永遠になくならない。アートがある限り題材は尽きないし、書き続けていきたい」。20歳の頃に出合い、そのユニークな作品や人間性に惹かれたルソーから「言うに言われぬむずむずした抗い難い磁力」を感じ、10年前に「書くと決めて」から調査、取材を重ね『楽園のカンヴァス』に結実した。現在も月に5、6本は展覧会に出掛け、東京から京都の書道教室へ通う。「これからもアートに敬意を表し、幅広い分野の作品を見て行きたい」と語る。

 

「新美術新聞」2012年8月21日号(第1288号)1面より

 

【関連リンク】 原田マハ 公式サイト 「Naked Maha」

 

 


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