洋画

     
   

飯豊山地は、山形、新潟、福島三県の県境の山地で、主峰は飯豊山(2105メートル)で、13メートル違う最高峰の大日岳(2128メートル)がある。そうした山々を遥か遠方に望み見て歩む飯豊山地のブナの路は、せせらぎの音が際立って山地の奥深くまで一杯に響き渉らせながらも、山間の静けさを醸し出している。<br />
その雰囲気に浸る心情は、その場に身を置いた人のみ味わえる情感なのである。その情感をキャンバス一杯に繰り広げて、見事に再現したこの絵画は、構図といい、色彩といい、筆裁きといい、鑑賞者をしてその飯豊山地のブナの路を歩んでいるような錯覚に、誘い誘う魅力を発散させている。それゆえに見事な、という評価がふさわしい。絵画の特性を遺憾なく発揮して、鑑賞者をして芸術美的世界に勧誘し、感動の情感に浸らせる、このような絵画にこそ最大の賛辞を送りたい。<br />
(染谷紫仙)


城ヶ崎海岸は潮騒と歴史のロマン抱えたリアス式海岸。天城山・大室山の噴火によって流れ出た溶岩の末端が断崖絶壁となったダイナミックな景観である。長い年月絶え間なく打ち寄せる波に浸食された岬を適格に捉えて表現したこの絵画は、刻んで来た時の流れと、歴史のロマンを髣髴とさせる。しかも豪快な筆致と彩(いろどり)は、作家のパーソナリティー(Personality)天空海闊そのもので、寛(ゆったり)と鑑賞していると大自然の大らかな生き様が心の芯を捉えて、惹き付けられ、離れられない不可思議な魅力を持っている絵画である。 紫仙 評

   

 
 

掛川正治

KAKEGAWA MASAHARU

新極美術協会副会長・千葉支部長・審査委員、グリーンヒル美術館評議委員
 
1942年
1989年
1991年
1995年
2010年
2013年

東京都生まれ
極美展特選
同展グリーンヒル美術館賞
同展極美大賞
同展文部科学大臣賞
同展外務大臣賞
他受賞多数
 
銀座長谷川画廊他個展6回、グループ展50回、外遊19回。
我孫子市・医療法人社団葵会・グリーンヒル美術館・ミャンマー国大使館・国立ダッカ大学・世界の人形館他収蔵。

 
     

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