第25回吉田秀和賞に美術批評家・椹木野衣氏『後美術論』決まる

2015年11月01日 10:46 カテゴリ:最新のニュース

 

芸術文化を振興することを目的として、優れた芸術評論に対して賞を贈呈する吉田秀和賞の第25回の受賞作品が美術批評家・椹木野衣氏の『後美術論』(美術出版社、2015年)に決まった。

 

『後美術論』

『後美術論』

椹木氏は1962年秩父市生まれの53歳。著書に『日本・現代・美術』(新潮社)、『シミュレーショニズム』 (増補版・ちくま学芸文庫)、『戦争画とニッポン』(会田誠との共著、講談社)など多数。これまで「アノーマリー」展(レントゲン藝術研究所、1992年)、「日本ゼロ年」展(水戸芸術館、1999〜2000年)、「未来の体温 after AZUMAYA」展(ARATANIURANO/山本現代、2013年)などを手掛け、また自身も「グランギニョル未来」のメンバーとして飴屋法水、赤城修司、山川冬樹とともに活動し、現在福島の帰還困難区域で開催中の「Don’t Follw the Wind」(2015〜)にも参加している。現在、多摩美術大学教授。

 

『後美術論』は美術や音楽といった既成のジャンルの破壊を行うことで、ジャンルが産み落とされる前の起源の混沌から、新しい芸術の批評を探り当てる試み。候補書籍186点(音楽27点/演劇14点/美術59点/映像39点/建築11点/その他36点)の中から選出され、美術出版社からは初の受賞となった。副賞は賞金200万円。

 

今回の受賞に関し、審査員の建築家・磯崎新氏は「まるごと非吉田秀和「好み」です。だから「吉田秀和賞」にふさわしい。たんなる研究や報告ではなく、この報告そのものが誰も真似できないプロジェクトであることを証すもの」と評価。また評論家で慶應義塾大学法学部教授の片山杜秀審査員は「椹木さんが本書で描くのは結局、資本主義と「アート」の最終戦争。これぞ「3・11」後の芸術批評である」と評している。

 

授賞式は11月20日に水戸芸術館で開催予定。

 

 


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