洋画

     
   
青い果実、狂ったような爛熟のザクロ、割れ目からルビーのように光る種、画欲に駆られる。ドライザクロの割れ目から飛び込む暗黒の背景に黄色に輝く種、まさに死んで多くの実を結ぶ輝き。ザクロの一生を平面に叩き込み、全体も部分もザクロ。その中に女と男の情の世界がある。
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仮面を被って炎のように立ち昇る自我の蛇、蛇の創り出すエロスの美、現代のメンタルが混沌とした暗を漂流する。<br />
天地を分ける光あり、豊かな緑の地が画面の中央に広がる。ここに新しい美の世界があるか。
絵の中心部を横断する仮面の帯。世界には東西を問わず、いろいろな仮面に出会う。西洋の仮面舞踏会やカーニバル、日本にもいろいろな仮面がある。仮面をかぶれば、時を得たかのように、自我の本質が混沌とした闇の中で、“大蛇の炎舞宴”。やがて、骸骨灰塵となるのを知らずに!<br />
遠方の闇の中に、かすかに光る神がいる。
カスバの要塞の壁面、そこには人間の戦いの歴史が刻まれている。<br />
カスバには外国人部隊、お雇い兵たちが集まり、騎馬上の合戦になる。<br />
血で血を洗う人間同士の戦い。奈落の底に転落していく人間の姿を思わせる。<br />
いっぽう、壁面に映る影には戦いと無関係なモロッコの女たちが描かれている。<br />
彼女たちは何を考えているのであろうか?

   

 
 

塚田 稔

TSUKADA MINORU

日本画府(日府展)洋画部長・常務理事、玉川大学脳科学研究センター客員教授
 
1941年
1971年
1976年
1983年
1985年
1987年
1998年
2003年
2008年
 

長野県生まれ
東北大学大学院博士課程を修了、工学博士となる(95年医学博士号取得)
ぐるうぷ・いまあじゅに入会、樋渡涓二に師事
日府展初入選、新人賞受賞
玉川大学工学部教授となる
日府展洋画部理事となる
日府展日府賞受賞
日府展東京新聞賞受賞(05年東海テレビ賞受賞)
日府展洋画部常務理事となる

 
     

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