工芸

     
   

富士山が世界遺産になり、コノハナサクヤ姫の名が知られてきたが、姉であるイワナガ姫の名は聞こえてこない。醜女と伝えられているが、強固な意志を持つ慎ましやかな美女なのでは? 彼女を表す「永遠(とわ)の命」とは、与えられた環境の中で命と向き合い、精一杯生き抜く事、それが永遠の命の持つ意味なのではないかと、この頃つくづく考える。
ガラスをみていると不思議と宙(そら)が浮かぶ。宙を見あげているとガラスを連想する。アンティークガラスは余りにも美しすぎて、カットするのを躊躇させられる事が多々ある。同品番でありながら、二度と同じ姿をみせない気難しさも好きなのかもしれない。ガラスと語りながら、十二分に美しさを引き出せる表現者でありたい。

   

 
 

田中瑠衣子

TANAKA RUIKO

新極美術協会理事、工房「アトリエ夢×2(MUMU)」主宰
 
1946年東京都生まれ。
1998年ステンドグラスを学び、同年第8回ステンドグラス美術展に入選、2006年初の個展を開催、ブルガリア国際美術博覧会で2つの賞を受賞する。08年現代手工芸作家協会第25回ニュークリェティブ展に入選、11年極美展で極美準大賞を受賞する。

 
     

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