洋画

     
   

「ひまわり」は、画家にとって好適な題材である。<br />
大きな花輪、花びらの表情、太い茎や葉に支えられ、画面を堂々と埋め尽くしてくれる。黄金色、レモンイエロー、イエローオーカ、グリーンの葉が枯れ落ちるまでアトリエで活躍してくれる。<br />
ゴッホは、この花に対する熱狂的な美学を告げ、生命主義を引き出したのである。


戦前、瀬戸内海沿岸に誘致された大工場の煙突がそびえる壮大なモニュメントを写生した。山や川、海の風景は変わって幾何学的な構図となり、戦後の絵に変化していった。<br />
しかし、とてつもなく大きな屋根やどす黒い工場の中では、まっ赤な鉄が火の玉のような光を散らし、働く人の顔も赤く橙や黄に染めていただろうと今になって想像できる。<br />
鮮烈な色彩と簡潔な表現を合わせ、前衛的な芸術を目ざした。

   

 
 

高原智子

TAKAHARA SATOKO

 
1937年兵庫県生まれ。
女子美術大学芸術学部洋画科卒業後、森田元子に師事。金山賞展、兵庫現代美術展、ひょうごの女流作家展など出品。86年姫路市民文化賞芸術年度賞、芸術公論賞、シアトル市民賞受賞。

 
     

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