工芸

     
   

人間の意識を自由に展開させるロマンティシズムの世界ではなく、常識的で現実的なリアリズムの枠組の中で、平穏で平和な社会の実現を期待したいと思う。一歩一歩のあゆみを止めることなく、真剣な想いと願いを込めて前進したい。
大震災のあと、消え去った幸せや夢をつなぎ合わせるようにして、復興のあかりを灯したい思いで制作しました。力強く元気が出るように、赤いマントに身をつつんで、祈りを捧げました。衣装の模様は複雑な作業の多い図柄にして、くり返し念仏を唱え続ける感じで制作しました。

東日本大震災は多くの尊い命と、かけがえのない愛や絆も一瞬におし流してしまいました。原発の不安に怯えるなか、蘇れいのちと叫ぶ思いを、幼子を頭上にいだきあげて、天に命を希い生きて生きてと叫び続ける姿を、濁流から離れ清められた白い衣装をつけて表現しました。台座は静かに波うつ海を思い制作しました。

   

 
 

奥田小由女

OKUDA SAYUME

文化功労者、日本藝術院会員、日展副理事長、現代工芸美術家協会副理事長
 
1936年
1955年
1972年
1980年
1988年
1990年
1998年
2006年
2008年
大阪府生まれ
広島県立日彰館高等学校卒業
日展特選(同74年)
日展会員となる
日展文部大臣賞受賞
日本藝術院賞受賞
日本藝術院会員となる
奥田元宋・小由女美術館が開館
文化功労者となる

 
     

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