工芸

     
   

   

「朝(染色・天竺木綿)」 81.0×110.0cm

これは1958年のはじめての個展の時の作品である。
当時日本は貧しく、皆も私も貧しかった。安価で手に入れやすい天竺木綿にパラフィン蝋を塗り、釘や針で引っ掻いて線を入れ、茶色の染料をこすりこむ。これを何度も何度も繰り返し、心に浮かぶ風景を、ひたすら染めていた。この作品を眺めると、あの頃の情熱とひたむきさがよみがえってくる。
この作品は私の原点である。

 
 
 

久保田すみ子

KUBOTA SUMIKO

久保田すみ子グループ主宰
 
1921年
1941年
1954年
1955年
1958年
1965年
 
1969年
1994年
2002年
東京生まれ
東京女子大学を卒業。野口道方に染色の基本技術を学ぶ
久保田すみ子グループを主宰、新しい感覚の染色美術をめざす
太平洋画会展染色部で東京都知事賞受賞(56年会友となるが58年脱会)
初の個展を銀座・村松画廊で開催(以後無所属作家として多くの個展を開催)
久保田すみ子グループ作品展を伊勢丹で開催(67年から三越本店で開催、
20回続ける)
個展をパリ、ラ・コルデ画廊で開催、インダストリー大臣より受賞
個展を北京・中央工芸美術学院で開催(中央工芸美術学院主催、新華出版社協賛)
『久保田すみ子作品集』を刊行
 

 
     

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