日本画

     
   

リスボンの急な坂道を登るケーブルカー人に優しい。丸味をおびた顔だからだろうか。古色をおびた町並に映える明るい黄色は何んとも可愛い。ずーと佇でいたい。<br />
僕はポルトガルの民謡ファドが好きだ。聞きたいとアルファマを歩いた。サウダーデに象徴される哀愁とも少し違う、背伸しない人への慈しみ。(武郎の日記から)


優心を触発したのは、毎回、研修旅行で平山先生初め福井先生、手塚先生、田渕先生、そして学生と写生旅行をし、中国の文化に触れ悠久の素晴しさ感じ、また、躍動する北京を散策した時のこと。<br />
紫禁城の濠から幼女が餌を与えると濁った水面に花火するように集まる鯉。<br />
優しい心が白い欄干に映え、絵にする動機。

次の道への通過地点を思い、画材(モチーフ)に続く路線、一段一段登るはしご、遠くに見える山、<br />
人生の縮図。

山羊は小屋のそばに行きました。黄色い長靴は主人のものです。<br />
暖かい懐かしさを感じ、じっと佇んでいました。(内蒙古自治区の旅から)

   

 
 

菊地武郎

KIKUCHI TAKERO

 
1967年
1993年
1994年
1995年
 
1998年
2000年
 
2001年
2005年

 

東京都生まれ
東京藝術大学大学院美術研究科(日本画専攻)修了
春の院展初入選(以後連続入選)
東京藝術大学大学院美術研究科(保存修復技術日本画)修了
院展初入選(以後連続入選)、初の個展開催
日本美術院院友となる
東京藝術大学大学院美術研究科(保存修復技術日本画)非常勤講師となる
急逝(享年33)
画文集『優心』刊行
菊地武郎記念ギャラリー開設(文京区目白台2-6-16プチモンド目白台1階)
 
このほか、台東区、佐久市立近代美術館など作品収蔵

 
     

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