“劇場”の声に耳を傾ける――美術とパフォーマンスが交差する小金沢健人展が開催

2019年04月27日 16:52 カテゴリ:最新のニュース

 

《Naked Theatre  2019 》 ©Takehito Koganezawa

《Naked Theatre 2019 》 ©Takehito Koganezawa

 

「Naked Theatre」――それは“裸の劇場”だと、作家は語る。

 

4月14日より、KAAT 神奈川芸術劇場にて「KAAT EXHIBITION 2019 小金沢健人展 Naked Theatre ―裸の劇場―」が開催中だ。

 

美術とパフォーマンスの新たな“交差点”として同劇場が提案する「KAAT EXHIBITION」。第4回にあたる2019年度は世界を舞台に活躍する美術作家・小金沢健人(1974年東京都生まれ)の個展を主軸に、さまざまなプログラムを展開する。

 

小金沢は98年武蔵野美術大学映像学科を卒業後、99年ポーラ美術振興財団、01年文化庁芸術家在外研修員の助成を受け留学。ドイツ・ベルリンを拠点に世界各国でフィールドワークや制作発表を重ね、独創的な映像作品で広く注目を集めてきた。現在はビデオに加えドローイングにスカルプチャーと表現の形に境を設けず、展示空間の個性・構造を最大限に活かしたインスタレーションで国際的に評価され、昨年には「Asian Art Award 2018」大賞も受賞している。

 

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国内10年ぶりの大規模な個展となる今展、小金沢は劇場空間そのものを美術作品へと変貌させる。

 

「Naked Theatre」――”裸の劇場”と名付けられたそれは、演目や稽古といった日常の使命から解放された劇場が、むき出しの姿、ありのままの素顔をのぞかせる。会場には小金沢の娘が幼い頃に書いた“文字らしきもの”を取り入れたインスタレーションと共に、照明、音響、スモークマシンといった劇場ならではの機材が配置され、一個の生命の器官を想起させる。鑑賞者はその内奥へと誘われ、劇場の“胎内”を巡り、現実世界へと立ち戻ることで“生まれ変わり”に興じることができるだろう。舞台と客席の境界線も曖昧な空間で、俳優として、観客として、演劇の本質をより深く体験することとなる。

 

既存物に新たな意味を持たせることで、世界は変容し、異なる価値観が提示された。

 

「モノ」の在り方を問いかける劇場空間そのものの声に、耳を澄ませて欲しい。

 

 

【展覧会】KAAT EXHIBITION2019 小金沢健人展 Naked Theatre ―裸の劇場―

【会期】2019年4月14日(日)~5月6日(月)

【会場】KAAT 神奈川芸術劇場 3F中スタジオ(横浜市中区山下町281)

【TEL】045-633-6500

【開館】10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)

【休館】会期中無休

【料金】一般700円 学生・65歳以上500円 高校生以下無料

 

■パフォーマンスイベント

スガダイロー(ピアニスト/作曲家) 志人(詩人/作家/作詩家) 荒悠平(ダンサー)

・5月2日(木・祝) 14:00~17:00(3時間の中で約20分×6回を予定)

 出演:スガダイロー 小金沢健人 荒悠平

・5月3日(金・祝) 14:00~/16:00~(各回約25分)

 出演:志人 小金沢健人

・5月4日(土・祝) 14:00~/15:00~/16:00~(各回約20分)

 出演:スガダイロー 志人 小金沢健人

 

【関連リンク】小金沢健人 裸の劇場(KAAT 神奈川芸術劇場)

 


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