大川美術館「没後70年 松本竣介 アトリエの時間」―アトリエで過ごした思索のときに思いを馳せる:田中 淳

2018年10月12日 19:32 カテゴリ:最新のニュース

 

 

この展覧会は、画家の没後70年と当美術館の開館30周年をあわせて企画したものです。今回の展覧会では、「街」(1938年)、「立てる像」(1942年)、絶筆「建物(茶)」(1948年)などの代表作を含む油彩画、素描約30点を出品します。あわせて、画家と交友し、アトリエを訪れていた16名の画家たちの作品25点も出品します。

 

さて、今回のテーマであるアトリエですが、松本竣介の場合、街を歩いてスケッチをしていたとしても、そのスケッチをもとにしてアトリエで作品を完成させています。つまり、アトリエでの制作が重要でした。さらに、創作ばかりでなく、原稿執筆、装丁やカットの制作、手紙、読書、応接等々、さまざまな仕事と暮らしの場でもあったと思われます。

 

 

一方、アトリエそのものは、すでに老朽化のために失われているのですが、現在までアトリエにあったイーゼル、パレットなどの画材や蔵書、さらに机、書棚、置物などは、ご遺族によって大切に保管されてきました。そこで、「竣介のアトリエ再見プロジェクト」として、当時のアトリエ(15畳の洋間)と同じスペースを展示室に設け、そこにそれらのモノを並べることを計画しました。

 

このプロジェクト実現のために今回、当美術館は資金調達として目標額500万円のクラウドファンディングに初めて挑戦しました。今年6月からの2カ月間に、結果として400人を超える方々から、700万円を超えるご支援をいただきました。岩手県から鹿児島県まで、松本竣介のファンの方々が全国的にいらっしゃることを実感しました。同時に、大川美術館が新しいチャレンジをするのであればということで、地元桐生市をはじめ、地域の方々からも、たいへんなご支援をいただきました。松本竣介、ならびに大川美術館のファンであるという多くの方々に改めて感謝申し上げます。

 

企画展と並行して記念展示「竣介のアトリエ再見プロジェクト」として実現できることになりましたので、どうぞご来館ください。

(大川美術館館長)

 

今夏のクラウドファンディングは、およそ2カ月間で約750万円の支援を得る大成功を収めた

 

遺族が大切に保管してきた机や書棚が並べられ、竣介が過ごした場を再現する。

 

<出品作家>
松本竣介、靉光、麻生三郎、糸園和三郎、井上長三郎、大野五郎、寺田政明、鶴岡政男、澤田哲郎、薗田 猛、末松正樹、手塚緑敏、中野 淳、難波田龍起、舟越保武、吉井 忠、吉岡 憲

 

【展覧会】没後70年 松本竣介 アトリエの時間

【会期】2018年10月13日(土)~12月2日(日)

【会場】大川美術館(群馬県桐生市小曽根町3-69)

【TEL】0277-46-3300

【休館】月曜(祝休日のとき翌日)

【開館】10:00~17:00(入館は16:30まで)

【料金】一般1,000円 高大生600円 小中生300円

 

※館林美術館との相互割引を実施
群馬県立館林美術館「時代に生き、時代を超える 板橋区立美術館コレクションの日本近代洋画1920s-1950s」(9月15日~12月24日)開催期間中にそれぞれの展覧会の半券を提示すると団体割引料金に

 

主な関連イベント
■対談「父のアトリエ、その思い出」
【登壇】松本 莞(松本竣介次男・建築家)×田中 淳(大川美術館館長)
【日時】10月20日(土)14:00~15:30
【会場】展示室2
【定員】50名(事前申込み)
【料金】無料(入館料のみ)

 

■対談「松本竣介のアトリエの時間を語る」
【登壇】川本三郎(評論家)×田中 淳(大川美術館館長)
【日時】11月10日(土)14:00~15:30
【会場】展示室2
【定員】50名(事前申込み)
【料金】無料(入館料のみ)

 

■ワークショップ「こども×アート×まち」
桐生ならではの素材・紙管と、ダンボールを使った工作ワークショップ
【日時】10月21日(日)、11月3日(土)、11月24日(土)いずれも10:00~13:00
【会場】レクチャー室
【料金】無料

 

■ミニコンサート
【ゲスト】菊地理恵(バイオリニスト)
【日時】10月28日(日)12:00~12:45
【会場】レクチャー室
【料金】無料

 

【関連リンク】大川美術館

 


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