三十三間堂《木造千手観音立像》など5件が国宝、50件が重文に

2018年03月20日 13:57 カテゴリ:最新のニュース

 

 

文化審議会(馬渕明子会長)は、3月9日の文化審議会文化財分科会を経て、三十三間堂の通称で知られる京都市・蓮華王院本堂「木造千手観音立像」など5件を国宝に指定するよう文部科学大臣に答申した。

 

「木造千手観音立像」は、後白河上皇による1164年(長寛2)年の本堂創建時と鎌倉時代の再建時に製作された千手観音の大群像で、創建時のものが124軀、残りは室町時代の補作1軀を除きすべて鎌倉時代の製作である。運慶、快慶の慶派をはじめ、院派や円派と呼ばれる仏師集団が参加しており、王朝文化の華やかさと壮大な規模を伝える記念碑的作例として知られる。1973年度より保存修理が始まり、2017年末に45年におよぶ作業が完了したのを契機として国宝に指定された。

 

今回、国宝指定を受けたのは以下の5件。

 

<絵画の部>(重要文化財を国宝に 1件)
《紙本著色日月四季山水図 六曲屏風》一双

 

<彫刻の部>(重要文化財を国宝に 2件)
《木造千手観音立像(蓮華王院本堂安置)》一千一軀
《木造四天王立像》四軀

 

<書跡・典籍の部>(重要文化財を国宝に 1件)
《紺紙金字大宝積経巻第三十二(高麗国金字大蔵経)》一巻

 

<古文書の部>(重要文化財に有形文化財を追加して国宝に 1件)
《菅浦文書 (千二百八十一通)》六十五冊
《菅浦与大浦下庄堺絵図》一幅

 

 

また、重要文化財には<絵画の部>《紙本墨画淡彩野々宮図》岩佐勝以筆、《キトラ古墳壁画》、《南風》和田三造筆、《紙本墨画果蔬涅槃図》伊藤若冲筆など9件、<彫刻の部>《木造雲中供養菩薩像》、《木造聖徳太子立像》、《木造阿弥陀如来立像》快慶作、《木造四天王立像》隆賢作など11件、<工芸品の部>《紅綾地亀甲菱襷文様総鹿子絞小袖》、《薄黄縮緬地鷹衝立文様友禅染振袖》、《蔓梅擬目白蒔絵軸盆》原羊遊斎作・酒井抱一下絵、《色絵椿文大皿 鍋島》など7件、<書跡・典籍の部>《源氏物語 行幸》、《源氏物語(池田本)》、《高麗版大般若経》など4件、<古文書の部>《平清盛請文》、《明通寺寄進札》など4件、<考古資料の部>《奈良県キトラ古墳出土品》《北海道八千代A遺跡出土品》《茨城県三昧塚古墳出土品》など7件、<歴史資料の部>《安南国大都統官阮潢書簡 加藤清正宛/安南国大都統官阮潢書簡 加藤清正宛》、《江戸幕府書物方関係資料》、《ED四〇形式一〇号電気機関車》など8件が指定された。

 

 

 

 

今回の答申によって国指定の重要文化財(美術工芸品)は10,735件(うち国宝890件)となった。新指定文化財の一部は、4月17日から5月6日まで東京国立博物館本館で特集展示される。

 

【関連リンク】文化庁 東京国立博物館

 


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