東博、九博所蔵の名品で“返礼”を―台湾・故宮南院で「日本美術の粋」展開催

2016年12月27日 17:19 カテゴリ:最新のニュース

 

 

台湾、「国立故宮博物院南部院区」(2015年12月28日嘉義県太保市に開館。以下、故宮南院)では、東京国立博物館(以下、東博)、九州国立博物館(以下、九博)所蔵の名品151件が展覧されている。展覧会名(原題)は「日本美術之最―東京・九州国立博物館精品展」(12月10日~2017年3月5日/前期12月10日~1月22日、後期1月25日~3月5日。3館共催)。

 

今展は、故宮南院の1周年を記念して、また2014年に東博、九博で開催され、併せて約80万人の入場者を記録した「台北 国立故宮博物院―神品至宝―」展の“返礼展”としての開催となった。

 

12月12日の開幕記者会見で銭谷眞美・東京国立博物館長は次のように挨拶、「東博と故宮博物院とは学術交流を通して深い友好関係を築いてきた。日本美術の粋を、お礼を兼ね、友好の返礼として企画した。縄文から明治まで、日本美術の選び抜かれた名品を紹介する」「東博、九博2館の所蔵品から国宝18、重文44件を含む全151件を紹介、これだけ多分野にわたり日本の名品の数々を国外で紹介するのは今回が初めて。日本美術、ひいては日本文化全体を深くご理解いただけるものと確信する」。

 

島谷弘幸・九州国立博物館長は「多様な日本美術を全て紹介する画期的展覧会。九博からは国宝3点を全て出品、3点の重文を含め計8件の文化財を紹介」「九博は日本文化の形成をアジア史の観点から見ることをコンセプトとしている。故宮南院はアジアの鼎立文化を主題とする博物館と聞いている。選ばれた作品はこの度の展覧会にふさわしい作品だと確信する」などと述べた。

 

 

展示は以下の6つのテーマで構成し、古代から近代―約5000年にわたる多様な日本美術を紹介している。

 

〈第1章 祭祀と生活〉縄文時代・弥生時代の発掘された文化財=《火焔型土器》、《遮光器土偶》、《埴輪 盛装の男子》等
〈第2章 皇権と仏法〉仏教美術=《菩薩半跏像》、《孔雀明王像》等
〈第3章 貴族の世界〉宮廷・王朝の美術=《檜扇紋散蒔絵手箱》、《栄花物語》等
〈第4章 武家の文化〉武家美術=《太刀 銘来国光》、狩野永徳筆《檜図屏風》等
〈第5章 市民の創造〉江戸時代の浮世絵をはじめとする庶民の美術=尾形光琳作《八橋蒔絵硯箱》、葛飾北斎筆《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》等
〈第6章 伝承と創造〉明治時代の工芸・絵画等=浅井忠筆《春畝》、高村光雲作《老猿》等

 

銭谷、島谷両館長が言うように、これだけの名品を一堂に見ることは国内でもかつてないこと。美術の教科書がそのまま飛び出たようなラインナップとなった。海外、とりわけ中華圏から日本文化を見つめ直す良い機会となるかもしれない。各作品は前期、後期の入れ替え、または全期間展示などがあり、東博公式ウェブサイトで一部作品の展示期間が確認できる。

 

故宮南院は「台北駅」より高鉄(台湾新幹線)利用で「嘉義駅」まで約1時間30分(運賃は座席指定普通TWD1080=日本円約4,000円)。高鉄「嘉義駅」からはシャトルバス等で約10分。月曜、1月24日休館。入館料TWD250。なお、入館は時間予約制。ウェブサイトよりオンラインチケットを購入しての入場となる。

 

 

 

【関連リンク】国立故宮博物院南部院区

 


関連記事

その他の記事