“間合いの画家”有森正の個展がKANEKO ART TOKYOで開催

2016年11月17日 18:03 カテゴリ:最新のニュース

 

 

画家・有森正(ありもり・せい)の個展が、東京・岩本町のKANEKO ART TOKYOで開催中である。

 

有森は1951年佐賀県武雄市生まれ。東京藝術大学・同大学院で、国内におけるテンペラ研究の第一人者としても知られる田口安男(1930~)に師事し、現在は、ベルギーと日本を拠点に創作活動を続けている。自らの制作を「自然の中にすでに存在する美を、ひも解いていく作業」と語る画家は、テンペラや金銀箔、麻布、膠、石膏など多様な素材や古典技法への深い考察をもとに、繊細にして豊かな表情の抽象画面を描きだす。

 

有森を「間合いの画家」と評するのは、東京文化財研究所客員研究員の田中淳氏。以下は、田中氏のが寄せてくれたテキストである。

 

日本の伝統的な文化では、間をとることがひとつの美学になっている。

人と人との間、人とモノとの間、人と自然との間、日本人は、さまざまな場面で間を大切にして、「間」の美学をつくってきた。

この有森正というアーティストも、この「間」の美学を強く意識している。

ここ数年間にわたりベルギーと日本とを往還しながら制作をつづけているなかで、彼はそうした美学を意識するようになった。

しかも、彼の場合、画家を志してから、ヨーロッパの古典技法を学び、今も習熟したその技法を礎に自らの表現をつづけている。その彼のテーマは、自然との「間合い」-距離感である。作品は抽象的だが、その繊細な表情は、まさに自然との対話、あるいは自然の中での呼吸、感覚、瞑想など、つまり自然との「間合い」から生まれたものである。

ヨーロッパの古典技法と日本の美学の融合といってしまうと、たいへん簡単そうだが、彼の作品を見れば、実に深い思索と長い時間にうらづけられた豊かで繊細な表現に気付くだろう。多様で、ともすればイメージ優先の手軽な表現が横行する現代美術のなかにあって、自然を受け入れる正直な感性と確固とした古典技法にうらづけられた有森正の絵画のユニークさと価値は、ここにあるとおもう。

 

出品は約25点。多様な色彩や素材を用いつつも抑制のきいた、私たちに柔らかく寄り添うような世界を楽しんでほしい。

 

 

 

 

【展覧会】有森正展 ―境界線への旅―
【会期】2016年11月10日(木)~11月27日(日)
【会場】KANEKO ART TOKYO(東京都千代田区岩本町2-6-12 曙ビル1F)
【TEL】03-6240-9774
【休廊】月曜・火曜・水曜
【営業時間】12:30~18:00

 

【関連リンク】KANEKO ART TOKYO

 


関連記事

その他の記事