インタビュー:初の百貨店個展に挑む現役美大生 明石 恵

2016年08月10日 17:29 カテゴリ:最新のニュース

 

 

東京造形大学に在学中の現役美大生・明石恵が、初の百貨店での個展を開催する。

 

「イレブンガールズアートコレクション(EGC)」の最年少メンバーとして活動した明石は秋田市出身の23歳。2013年の東武池袋本店でのEGCグループ展で「出品作完売」という華々しいデビューを飾り、以降、10回にわたってEGCのグループ展に出品して経験を積んできた。

 

EGCは、画家の與倉豪氏がプロデュースして2010年に結成された。與倉氏が主宰するアートマネジメント講座(GUAMS)から生まれたもので、11人の若手女性画家が所属している。「プロの画家の育成」を目的とする同講座では、アートマーケットの歴史やシステムから発表の手段、アプローチや宣伝の手法、接客方法、手紙の書き方まで「プロの画家として生きていくための術」が徹底的に指導され、受講生は講座やグループ展を通じて3年間経験を積み、百貨店での個展を目指す。近年、数多くの美術誌で表紙を飾る人気作家の中原亜梨沙もEGC出身だ。

 

高校在学中から画家を目指していた明石は、浪人時代に與倉氏の講座を知り、大学入学直後に受講。「両親も絵で食べていけるのかと心配していて。高校の先生にも授業のかたわら制作を続けていた方がいらっしゃって、とても大変そうでした。その頃から、画家として自立する方法を探していました」と語る。「與倉さんの講義は最初は難しかったのですが、EGCでの活動を通じて身を以て学ぶことができました。様々な背景、作品の見方を持った先輩方がいてとても刺激的ですね。中原さんとは1年間だけ一緒でしたが、画家は自分だけでなく、画廊の方々のためにも作品を売る責任があると仰っていたのがとても印象に残っています」。

 

「大学1年生で受講してきたのは初めてだった。大学生の間に百貨店で個展が開催できたら良いねと半ば冗談で話しましたよ」と與倉氏。氏は明石には他にはない“華”があると言う。「池袋本店でのデビューも、実はピンチヒッターとしての出品でした。ところが、他の作家よりも早く完売してしまった。学生なので他に比べて出品数が少ないとはいえ、この子は何か持っていると感じましたね」。その後に正式なメンバーとして迎え、とにかく経験を重ねさせた。「EGCには中原さんのように成功した作家もいれば、残念ながら芽の出なかった作家もいます。明石さんには、この3年間、様々な先輩の背中を見ながら自分がどのようなスタンスでやっていくのかを考えてもらえたと思います」。

 

◆初個展のテーマは「夢」―

 

活動当初から、箱型のキャンバスに揺蕩う少女たちを描いた「箱入り娘」のシリーズに取り組んできた。「女の子は、歳を重ねるごとに洗練され、魅力的になる一方で、あどけなく夢見がちな“少女性”を失ってしまう。その間にいる、大人になる一歩手前の少女たちの美しさ、儚さを描きたいと思っています」。今展では、故郷・秋田で生まれたと伝えられる小野小町の和歌をモチーフとした連作をはじめ、描かれた様々なシンボルが謎めく想像の世界へと誘う「夢占い」のシリーズなど、「夢」をテーマとした大小の新作約30点を発表する。メリハリのきいた鮮やかな色彩とともに、衣装部分の盛り上げや蒔絵で使われる螺鈿技法など画面を装飾する意匠にも注目したい。

 

東武池袋店史上最年少での個展となるが「グループ展に出しているときから緊張しっぱなしでしたので、その意味ではあまり変わりません」と笑顔を見せる。「来年も個展を開催してもらえるように、しっかりと成果を出したいですね」。奇しくも会期初日は24歳の誕生日。プロの画家としての第一歩がどのような一歩となるのか、大きな期待が寄せられる。

(取材・文:和田圭介/協力:EGCオフィス)

 

 

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明石 恵 (Aya Akashi)
1992年秋田県秋田市生まれ。2011年秋田公立美術工芸短期大学(現・秋田公立美術大学)附属高等学院木材工芸コース卒業。2013年東京造形大学絵画科専攻入学(在学中)。2013年よりEGCに加入し、池袋東武や阪神梅田本店、福屋八丁堀本店など各地の百貨店でのグループ展に出品。

 

 

【展覧会】明石 恵 絵画展―GIRLS IN THE BOX―

【会期】2016年8月25日(木)~31日(水)

【会場】池袋東武 6F美術画廊 絵画サロン(東京都豊島区西池袋1-1-25)

【TEL】03-5951-5742

【営業時間】10:00~20:00 ※最終日は16:30閉場

 

【関連リンク】明石恵 ELEVEN Girls Art Collection(EGC)

 


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