[レポート] 絵本作家・葉祥明の信州初個展、ギャラリートークとサイン会開かれる

2016年07月30日 17:12 カテゴリ:最新のニュース

 

 

長野県の佐久市立近代美術館にて、犬のジェイクシリーズや『地雷ではなく花をください』などで知られる絵本作家・葉祥明(1946年熊本県生まれ)の個展が開催されている。今回、初日の7月9日に行われたギャラリートークとサイン会の様子を、同館専門員の工藤美幸氏にレポートしてもらった。

 

 

7月9日に始まった「葉祥明 アート展~絵本と絵画と言葉の世界~」。展覧会初日はご本人をお迎えしてのギャラリートーク&サイン会が開催されるということもあり、朝から雨模様にも関わらず開館前からお客様が待機されていらっしゃいました。信州初開催ということで、「やっと地元で見られる!」と、かなり楽しみにされていた方や、いよいよギャラリートークが始まる段になって感極まって泣き出す若い女性も・・・(彼女は当日が誕生日とのことでした)。そんなお客様を眼前に、開催してよかったとこちらまでもらい泣きしてしまいました。

 

展覧会は絵本原画だけでなく、油彩画、ファッションイラストレーターを目指した頃のデザインデッサン、自作・自筆の詩など163点という、かなり大規模なものとなりました。ギャラリートークでは4つの展示室に配された作品を回りながら、さまざまなことを語っていただきました。「犬のジェイク」「オレンジ色のペンギンのジェイムズ」「ハチドリからうまれたはちぞう」「ヒーリング・キャット」の4つのキャラクターに込められた想い、それらとは全く異なる思想・心情で描かれた油彩画の数々について、そして東日本大震災を題材にした作品「あのひのこと」や4月に故郷・熊本を襲った地震ののちに描かれた阿蘇の風景作品に対する想いなど、一つ一つのお話に、参加者の皆様は頷いたりしながらじっと耳を傾けていらっしゃいました。

 

トークを聞いて、葉さんはいつも「ちょっと小さくて弱いと思われる立場のもの」への愛に溢れている人なのだな、ということを改めて感じました。それは子どもたちであったり、社会構造の中における女性であったり、多数の人とは異なる考えや文化・感性を持った人々などです。しかし、その人たちに対してただ安らぎをもたらすだけでなく、あなたは本当は強い力を持っているのだと、自分の生きる力や変革をもたらす力を信じて行動することが大切なのだと、背後から温かく包みこみ、そっと一歩踏み出す勇気を全力で支えようという切実な使命感のようなものが見え、この画業44年の間、この1冊の本に、絵に、救われた人は一体どのくらいいるのだろうと改めて敬服した次第です。

 

8月7日にもご本人によるギャラリートーク&サイン会が予定されています。どうぞお越し下さい。

 

 

葉祥明 アート展~絵本と絵画と言葉の世界~

【会期】2016年7月9日(土)~8月28日(日)

【会場】佐久市立近代美術館 油井一二記念館(長野県佐久市猿久保35-5)

【TEL】0267-67-1055

【休館】無休

【開館】午前9時30分~午後5時

【料金】一般600円 高校・大学生400円 中学生以下無料

 

関連イベント

■葉祥明 講演会&サイン会 ※定員に達したため受付終了
【日時】8月6日(土) 午後2時~
【会場】同館 視聴覚室
【参加費】無料
【定員】50名
【参加方法】事前申込制(抽選)

 

■佐久市立近代美術館友の会共催 ”葉祥明さんと絵を見て語る会”&サイン会
【日時】8月7日(日) 午前10時30分~
【参加費】無料(要観覧券) ※サイン会参加希望者は要整理券(当日午前9時30分からグッズ購入者に配布)
【定員】なし(状況により入場制限をする場合あり)

 

■夏休み工作教室 つみきでおうちをつくろう! ※定員に達したため受付終了
【日時】8月11日(木・祝) 午前9時30分~午後12時30分 / 午後1時30分~午後4時30分
【講師】じゅんや(建築系アーティスト)
【参加費】500円(材料費1セットにつき)
【対象】小学生以上(小学生は保護者同伴)
【定員】各回15組
【参加方法】事前申込(先着順)

 

【関連リンク】佐久市立近代美術館 油井一二記念館

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