[寄稿]MIHO MUSEUM春季特別展 かざり―信仰と祭りのエネルギー:桑原康郎

2016年02月16日 11:37 カテゴリ:最新のニュース

 

日本人の「かざり」の精神読み解く

 

 

本展は、MIHO MUSEUM館長・美術史家の辻惟雄監修により、日本人の神仏への信仰と「かざり」との関連を主題に開催するものである。辻は、時代や分野を超えた日本美術を、従来注目されていなかった日本人の美意識から、「かざり」「あそび」「アニミズム」の3つのキーワードで明快に解き明かし、国際性と普遍性を持ったものとしてその本質を追求し続けてきた。本展では、煌びやかな仏教荘厳の世界、伎楽や舞楽の色彩と歌舞の世界、信仰の中の動物たち、祭りの賑わいなどを展観しながら、日本人の「かざり」の精神を読み解いていく。

 

「かざり」は、日常の単調な「ケ」の世界から、祭りや法会など「ハレ」の世界への転換と再生のエネルギーを得るための道具立てである。とりわけ「祭り」は「かざり」と不可分の関係にある。人の目を楽しませるだけでなく、神の目を楽しませ、神から授かった生命を寿ぐ、という祭りにおける神と人との関係性からも、「かざり」が深く宗教性に根差していることがわかる。

 

 

仏教もまた金・銀・宝石で「かざる」世界である。金銅の光輝く仏像や法具のさまざま、法会の場での僧の法衣などは、荘厳(仏国土や仏の説法の場を美しく飾ること)―「かざり」の世界にほかならない。

 

なかでも、深く仏教に帰依した伊藤若冲の、「モザイク屏風」と呼ばれる「鳥獣花木図屏風」(展示3/1~4/17)と「樹花鳥獣図屏風」(展示3/1~3/13)との競演はみどころだ。1cm角の方眼8万個以上をひとつひとつ塗り込めた、「桝目描き」という奇想天外な手法で描かれた屏風は、この2件が現存するのみである。両者が揃う期間は開幕から2週間のみと短いが、1997年(静岡県立美術館)以来の顔合わせを、ぜひお見逃しなく。

併せて、滋賀県の水口曳山祭、大津祭、長浜曳山祭を彩る華麗な曳山懸装品や、日吉大社山王祭の活気を写す「日吉山王祭礼図屏風」など、日本人の神仏への信仰に根ざした「かざり」の世界を幅広く展観する。

(MIHO MUSEUM学芸員)

 

【会期】2016年3月1日(火)~5月15日(日)

【会場】MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300)

【TEL】0748-82-3411

【休館】月曜(3月21日は開館、3月22日は休館)

【開館】10:00~17:00(入館は16:00まで)

【料金】一般1,100円 高校・大学生800円 小・中学生300円

【関連リンク】MIHO MUSEUM

 

■関連講演会

①「日本美術における『かざり』」

【日時】3月20日(日) 14:00~15:30 

【講師】辻惟雄(MIHO MUSEUM館長)

②「かざり極まる神々の乗物 ―唐鞍を中心に―」

【日時】5月8日(日) 13:30分~15:30分

【講師】片山寛明(MIHO MUSEUM学芸部長)

 

※いずれも当日先着100名(美術館棟受付にて10時より整理券配布)

【会場】南レクチャーホール

【料金】参加無料(要入館料)

 

 


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