若き画家たちの肖像―劇団銅鑼『池袋モンパルナス』が20年ぶりに再演

2016年02月16日 13:52 カテゴリ:最新のニュース

 

「わしは、描きたいものを描きたぁ」―昭和初期、芸術家たちは池袋に集った

 

松本竣介を演じる木下昌孝と脚本の小関直人

 

1997年初演、1999年には東京・池袋のほか、登場人物の故郷である広島でも上演し話題となった劇団銅鑼(げきだんどら)の演劇作品『池袋モンパルナス』が、新脚本・新演出で3月に再演される。

 

昭和初期から敗戦の間、池袋界隈にあった芸術家が集うアトリエ村。まだ名もなき画家たち、靉光、井上長三郎、寺田政明、鶴岡政男、松本竣介、古沢岩美…。彼らは日々、酒をあおり、女給と戯れ、歌い、踊り、そして芸術論を戦わせた。ただ、自らの描きたい絵を描きたい―。これは、激動の時代に、美を求め生きた画家たちの物語である。

 

原作は、宇佐美承が1990年に発表した同名小説。本作は、その中でも伝説的な洋画グループ「新人画会」を結成した靉光や井上長三郎らを中心に、1929年の太平洋画会研究所でのストライキから終戦までの16年を描いている。

 

若手俳優が同世代の画家を熱演(左上から時計回りに 靉光:山形敏之、井上長三郎:池上礼朗、松本竣介:木下昌孝、寺田政明:野内貴之)

 

脚本の小関直人は1967年東京都生まれ。89年に劇団銅鑼制作部に入団し、本作は劇団創立25周年記念に際して初めて手掛けた作品である。「戦争に向かう時代にあって、翻弄されながらも、若き画家たちは自らの芸術というものを見つめ続けた。原作を読んだとき、彼らの作品はもちろん、彼らがどのように生きたのかを強く知りたいと思いました。現代を生きる私たちにとって想像もつかない時代ですが、少しでも画家たちに近づきたいと思って書いた思い入れの強い作品です」。

 

再演を熱望したのは、劇団の若手俳優たちだ。28歳の若手俳優・木下昌孝が脚本を見つけ、同世代の若手たちに“俺たちもやろう”と声をかけたのだという。「『池袋モンパルナス』は、先輩方にとっての青春だったと聞いていました。実際に脚本を読んでみると、登場する若い画家たち一人一人の生き方に強く共感した。僕が演じる松本竣介は、絵画だけでなく、人にも社会にも真摯に向き合い続けた人。知れば知るほど、同じ表現者として近づきたいという気持ちが強くなっています」と木下は語る。

 

小関は自らの脚本を一から書き直した

20年の時を経て、小関の画家たちに対する考えも変わってきた。「初演のときは、彼らはあくまでも自分自身のために絵を描いていると思ってました。しかし、今改めて靉光たちの作品を見ると、そこには自分という存在を超越したものがあるように感じました。だからこそ美しく、今日に残ってるのではないか。それで、一から脚本を書き直すことにしたんです」。演出もANN Companyの野﨑美子が担当し、また、当時若手だった俳優がベテランとなり、本作では若き画家たちを見守る役どころを演じる。「間もなく45周年を迎える劇団銅鑼の歩みも反映した、全く新しい作品といっても過言ではありません」。

 

初演の97年当時こそアトリエ村の存在はもちろん、靉光や松本竣介らもあまり世に知られていなかったが、近年にはアトリエ村資料室などが開設され、当時の画家たちの精神を受け継ぐべく「新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館」が開催されるなど、再評価が進んでいる。本作はこの地に生きた画家たちの真実を伝えるとともに、戦争を知る人も少なくなった今日において、改めてその時代の空気を感じ、考えさせるきっかけになるものだ。「そして原作にはもうひとつ、“個”と“群”というテーマもあります。画家という個と、国家や社会という群。宇佐美さんは、個というものの可能性を追求したいと書いている。この作品を通じて、現代において個として生きる意味というものを、一緒に考えてもらえたらと考えています」。

 

激動の時代、若き画家たちは悩み、語らい、キャンバスに向かった。彼らの生き様に、あなたは何を思うであろうか。

 

2016 都民芸術フェスティバル参加公演

劇団銅鑼公演 No.48『池袋モンパルナス』

:小関直人/演出:野﨑美子/原作:宇佐美承『池袋モンパルナス』

後援:池袋モンパルナスの会

 

公演日:2016年3月2日(水)~6日(日)

開演:14時~/19時~ (3月2日は19時~のみ、3月6日は14時~のみ)

会場六本木・俳優座劇場(東京都港区六本木4-9-2)

チケット:一般5,000円 25歳以下2,500円

★初日割引:2日(水)19時~ 一般3,500円

★Friday Night割引:4日(金)19時~ 一般3,500円

 

★バリアフリーサービス(要予約) 障がい者割引:付添1名招待
・聴覚障がい者向け字幕(タブレット・予定)サービス:2日19時・3日14時&19時・4日14時
(全ての公演にロビーでの手話通訳あり)

・視覚障がい者向け音声ガイドサービス:4日19時・5日14時&19時・6日14時

 

★美術館半券サービス
公演時に板橋区立美術館、大川美術館、岩手県立美術館などの美術館入場券の半券持参で公演パンフレットをプレゼント(該当美術館は劇団銅鑼 公式サイトにて)

 

チケット取扱い
劇団銅鑼:TEL 03-3937-1101 / e-mail info@gekidandora.com
チケットぴあ:0570-02-9999(Pコード446-721)

 

【関連リンク】劇団銅鑼 公式サイト

 


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