梅津庸一が2会場で個展「ラムからマトン」開催 作家活動10年目の節目飾る

2015年11月09日 10:06 カテゴリ:最新のニュース

 

 

美術家・梅津庸一がARATANIURANOとNADiff Galleryの2会場で個展「ラムからマトン」を同時開催する。

 

梅津庸一は1982年山形県生まれ。東京造形大学絵画科を卒業後、ラファエル・コラン(1850-1916)の代表作「フロレアル」を自らの裸像に置き換えた「フロレアル( わたし)」でデビュー。昨年開催された個展「智・感・情・A」(2014年、ARATANIURANO)では黒田清輝(1866-1924)の「智・感・情」をアップデートした、4つの絵画により構成される「智・感・情・A」を発表し注目を浴び、同作はドイツのシュメーラー・ハウスで行われたレクチャー「museum global?」でも取り上げられた。

 

梅津は日本の近代洋画の表層的なシミュレーションに留まることなく、絵画の制度的な側面や受験教育の痕跡を辿る試みを絶えず模索し、「絵画説明会(2011 年、スプラウトキュレーション)、「であ、しゅとぅるむ」(2013 年、名古屋市民ギャラリー矢田)で企画された「優等生」などを経て、不定形の理想共同体「パープルーム」を設立。今夏に開催された「パープルーム大学物語」(2015年、ARATANIURANO) では、集団化された芸術空間を実現させ話題を呼んだ。

 

 

今回の個展では1900年のパリ万博において、黒田清輝の「智・感・情」と共に展示されていたフェルディナント・ホドラー(1853~1918) の「昼」(1900)を下敷きにした、幅3mを超える大作のほか、パフォーマンスの記録映像、戯曲家である岸井大輔のイベント「アジアで上演する」で展示された作品「パープルームのプロパガンダ」を大幅に改編したものなどを展示。日本を含む東洋・西洋美術史、作家各々が持つ個別の歴史を自身の身体を用いることで別の新しい形として出現させ、忘れられてしまった、あるいは意図的に忘れられた過去を掘り起こし、分断された歴史を繋ぎ直して刻み込もうとする梅津の活動に注目したい。

 

なお今展にあわせ、梅津の作家活動10周年の節目として、作家初となるモノグラフ「ラムからマトン」(アートダイバー刊)を出版。会期中には同書の先行販売の他、トークや上演なども予定されている。

 

 

 

 

 

 

©Yoichi Umetsu, Courtesy of ARATANIURANO

第1会場

【会期】2015年11月14日(土)~12月26日(土) ※2016年1月7日(木)~9日(土)のみ会期延長

【会場】ARATANIURANO(東京都港区白金3-1-15-2F)

【TEL】03-5422-8320

【休廊】日・月曜、祝日

【開廊】11:00~19:00

【料金】無料

【関連リンク】ARATANIURANO

 

第2会場

【会期】2015年11月20日(金)~2016年1月11日(月)

【会場】NADiff a/p/a/r/t(東京都渋谷区恵比寿1丁目18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F)

【TEL】03-3446-4977

【休廊】月曜

【開廊】12:00~20:00

【料金】無料

【関連リンク】NADiff

 

 

■「美術という制度と物語~土人の構想画からラッセンまで~」 ※終了

【日時】11月20日(金) 19:30~21:00

【会場】NADiff

原田裕規(美術家)×梅津庸一

 

■「対話」 ※終了

【日時】12月11月(金) 19:30~

【会場】ARATANIURANO

椹木野衣(美術批評家)×梅津庸一

 

■「絵画について」 ※終了

【日時】12月13日(日) 15:00~17:00

【会場】NADiff

星野太(美学/表象文化論)×梅津庸一

 

 


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