伝説の展覧会“再演” 「映像表現 ’72」展がMOMATで再び

2015年09月01日 09:29 カテゴリ:最新のニュース

 

Re: play 1972/2015 ‒「映像表現 ’72」展、再演

 

 

1972年に京都市美術館で開催された「映像表現 ’72」展は、映画館ではなく美術館で、美術家による複数の映像作品を一堂に展示した世界的に見ても先駆的かつ画期的な展覧会だった。その展覧会が43年の時を経た今、『Re: play 1972/2015 ‒「映像表現 ’72」展、再演』として東京国立近代美術館で再び開催される。

 

 

「映像表現 ’72」展の正式名称は「第5回現代の造形< 映像表現 ’72>もの、場、時間、空間-Equivalent Cinema-」。1972年10月、京都市美術館でわずか6日間だけ開催された展覧会は、大陳列室約400㎡を使用し、映画館やホールでの上映ではなく、展覧会形式で複数の作家の映像作品を発表した国内初の試みだった。当時の出品作家は石原薫、今井祝雄、植松奎二、植村義夫、柏原えつとむ、河口龍夫、庄司達、長澤英俊、野村仁、彦坂尚嘉、松本正司、宮川憲明、村岡三郎、山中信夫、山本圭吾、米津茂英の16名。映像作品がそこかしこの壁やモニターに映し出され、映写機やビデオデッキ、スライドプロジェクターの機械音が響く会場には、エンドレス上映するためにフィルムが蜘蛛の巣のように張り巡らされ、独特の空間を生み出していた。

 

 

今展は「replay(再演)」することで懐古的な再現にとどまらず、その現代的意味を捉え直す試み。「再演」にあたっては、会場図面や記録写真、カタログ、展評、出品作家の記憶などから会場面積や機材の種類、配置など、あらゆる要素をできる限り正確に割り出し、現在では極めて困難な8 ミリフィルムの複製にも挑戦。実際に8ミリフィルムでの上映を行うなど、1972年の展覧会をディテールにこだわって追求する。学生運動の激化や大阪万博の熱狂など熱気と活気が渦巻いていた当時の空気も感じられるかもしれない。

 

なお会場には、72年の会場が入れ子状にすっぽり収まり、その外側に当時は存在しなかった壁の裏側と外周空間が存在。内側の会場と外周空間を往来するうちに、1972年と2015年、京都市美術館と東京国立近代美術館という時間と空間が重なりつつズレていくような体験ができる。

 

 

 

 

【会期】2015年10月6日(火)~12月13日(日)

【会場】東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1)

【TEL】03-5777-8600

【休館】月曜(10月12日、11月23日は開館)、10月13日(火)、11月24日(火)

【開館】10:00~17:00(金曜は20:00まで) 入館は閉館の30分前まで

【料金】一般900円、大学生500円、高校生および18歳以下無料 ※使用済み入場券で、入館当日に限り再入場が可能

【関連リンク】東京国立近代美術館

 

 

■「FILM NOW 3日間の映画会」再演

 「映像表現 ’72」展の会期中に関連イベントとして行われた実験映画の上映会を再演。スタン・ヴァンダービーク、アルド・タンベリーニ、ヴィルヘルム&ビルギット・ハイン、松本俊夫、安藤紘平ほかの作品を上映。上映日時、プログラムの詳細は、後日発表。

 

■アーティストトーク

出品作家によるトークを開催。開催日時ほかの詳細は、後日発表。

 

■ギャラリートーク

①10月31日(土) 14:00~15:00

【出演】西澤徹夫(西澤徹夫建築事務所・今展会場構成担当)+三輪健仁(東京国立近代美術館主任研究員・今展企画者)

 

②11月15日(日) 14:00~15:00

【出演】石川亮(実験映画作家・東京国立近代美術館フィルムセンター技能補佐員・今展技術協力)+三輪健仁

 

会場は「FILM NOW 3日間の映画会」再演のも地下講堂、その他は企画展ギャラリー(1階)。いずれも参加無料、申込不要、要観覧券。

 


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