ヴェネチア・ビエンナーレで坂茂デザインの展示プロジェクト実施へ 

2015年04月14日 14:24 カテゴリ:最新のニュース

 

REVERBERATION─Pavilion of Light and Sound

 

© Shigeru Ban

© Shigeru Ban

 

資生堂グループのハイプレステージブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」は、世界最大の現代美術の祭典、ヴェネチア・ビエンナーレのヴェルニサージュ開催時期にあわせ、2015年5月8日(金)から9日(土)まで、イタリア・ヴェネツィアの音楽学院Palazzo Pisani(パラッツォ・ピザー二)のコートヤードにおいて世界的建築家 ・坂茂氏デザインによる「REVERBERATION─Pavilion of Light and Sound」の展示プロジェクトを実施する。

 

坂氏は1957年東京生まれ。これまでに「ポンピドゥー・センター・メス」、「紙のカテドラル」、「アスペン美術館」、「大分県立美術館」などを手掛け、フランス建築アカデミー ゴールドメダル(2004)、フランス国家功労勲章オフィシエ(2010)、芸術選奨文化部科学大臣賞(2012)、プリツカー賞(2014)などを受賞している。

 

ポンピドゥー・センター・メス

 

同企画は、「クレ・ド・ポー ボーテ」ブランドのグローバル戦略の一環として、現在、世界で最も注目を集める建築家、坂茂のデザインによるパビリオンをプロデュースすることで、クリエイティブなチャレンジを試みるコラボレーション企画。会場の音楽学院Palazzo Pisani は、1603年に建てられたヴェネツィアで最も趣のある歴史的建造物の一つで、坂氏は「クレ・ド・ポー ボーテ」の2015 Autumn / Winter Collectionのクリエーションテーマ「ベニスの光」にインスパイアされ、ダイナミックでありながら繊細な視覚デザインで、ブランドのコンセプトを表現。メーキャップケースのパーツ約90,000個を使用したパビリオンの中では音楽が演奏され、ヴェネチアの神秘的な光と翳、そして音を体験する特別な空間となる。

 

 

■坂茂メッセージ

最小限の材料と力で空間を包み込むには、テンシル構造*が適切である。この歴史的なファサードに囲まれた狭いPalazzo Pisaniに空間を切り取るため、アクリル板をそのファサードに立て掛けて、自然に吊り下げられた放物線状の面を作った。

 

初めてクレ・ド・ポー ボーテのパレットを見た時、この濃紺の表面が光を反射したり吸収するタイルに見えた。そこでこのパレットを9mmの間隔でアクリル板の両面にタイル状に貼り、光を反射させたり、内部に翳を作り、その隙間から構造体を固定する重しとしての水面に反射するベニスらしい揺らぐ光を内部に取り込んだ。

 

今は音楽院になっているこのPalazzo Pisaniのコートヤードに立った時、どこからともなく音が聞こえてきた。その音は音楽というより、この空間独特の環境を作る構成要素である。 神秘的な光と翳と調和する音の空間。それは歴史的なファサードに重ねた化粧ではなく、既存のコンテクストの魅力を引き出す仕掛けである。

 * テンシル構造:圧縮や曲げによらず、引張力により成立する構造形式。

 

【会期】2015年5月8日(金)~9日(土)

【会場】Palazzo Pisani Conservatorio di Musica Benedetto Marcello San Marco 2810, Venezia Italy

 

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