【ニュース】3331で「堀浩哉展ー滅びと再生の庭ー」開催 3.11以降の試行を展覧

2015年02月17日 12:38 カテゴリ:最新のニュース

 

新作絵画とドローイングを発表

 

 

昨年の秋に多摩美術大学退任記念展を開催し、話題を呼んだ堀浩哉(1947年富山県生まれ)が東京・外神田の3331 Arts Chiyodaで個展を開催する。

 

今展のタイトルに冠された『滅びと再生の庭』は、同じく昨秋に現代企画室より刊行された堀の同名の著書に由来している。同書の冒頭には「3.11 以降」の現在の表現を考察する約8万字の書き下ろしエッセイが掲載されており、その中で堀は、福島第一原発事故がもたらした近代文明の本質的な有限性に対して、芸術がいかに向き合うことができるのかを問い続けている。

 

今展では、新作絵画とドローイングを中心に「3.11 以降」堀が試行している表現の展開の一端に立ち会うことができる。

 

 

■堀浩哉/本展に寄せて

あの大地震から一ヶ月後に、被災地を巡った。閖上の瓦礫の中を突き抜けると、あくまでも穏やかな海に出た。まだ、多くの人や家を呑み込んだままのはずなのに。

 

その海の映像に「記憶するために」という文字を重ねた。それは文字であり、言葉であったが、書き重ねるごとに「線」であることが際立ってきた。

 

言葉を「描く」ことは1971 年の初個展以来断続的に、しかし何度もくり返してきたが、「3.11 以降」その言葉は「意味」を発しながら「意味」から離れ、逸脱して「線」そのものになってきた。「書と画」がまだ分離する以前、地中深くで絡み合う樹木の根のように「意味」と「線を刻む」ことへの熱望は不可分に絡み合っていた。

 

ドローイングとは本来「息を深く吸う」ことであり、樹木が根から栄養を「吸い上げる」ことを意味したように、絡み合った根の場所を探りその養分を熱源としながら、息を吸うように「いま、ここ」で生きている痕跡を刻むこと。

 

「線」を、引っ掻き、「傷」を穿つように「書く=描く」。

 

その「現場」は「滅びと再生の庭(フィールド)」であり、永遠に開かれた余白として立ち現れ、そこでは完結しない落書きであり祈りでもあるような「線」が、上書きされつづける。

 

絵画を再起動するために。

 

この『滅びと再生の庭』展は新作絵画作品が中心だが、その「書く= 描く」の契機であった、2011年の閖上の海の作品と、さらにそのはるか遠い起源でもあった1979年の小さなドローイング、そして1999年の「傷」にまみれた(そしてパフォーマンスとも連動する)ポートレート作品を、同時に展示している。

 

【会期】2015年2月21日(土)~3月15日(日)

【会場】3331 Arts Chiyoda 1 階メインギャラリーB(東京都千代田区外神田6―11-14) 

【休館】無休

【開館】11:00~19:00

【関連リンク】3331 Arts Chiyoda

 

■対談1 赤坂憲雄(学習院大学教授、福島県立博物館館長)×堀浩哉(美術家) 「3.11 以降の芸術」

【日時】2月21日(土) 15:00~17:00

【会場】3331 1階ラウンジ(定員50名)

 

■対談2 椹木野衣(美術批評家)×堀浩哉(美術家) 「3.11 以降の芸術ー半殺し対談・2」

【日時】3月7日(土) 15:00~17:00

【会場】3331 1階ラウンジ(定員50名)

 

■パフォーマンス/堀浩哉+堀えりぜ 「記憶するために」

【日時】3月11日(水) 15:00~16:00

【会場】3331 2階体育館

 

 


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