【レポート】 宮田藝大学長 IRUCA(イルカ)構想=芸術資源アーカイブ等の推進 を発表

2014年06月06日 13:36 カテゴリ:最新のニュース

 

文化審議会第12期文化政策部会第2回 本格審議進む

東京オリンピック2020 日本の顔を世界に⇔上野「文化の杜新構想」

 

文化振興の政策形成に関する重要事項を調査審議する文化審議会の第12期文化政策部会(熊倉純子部会長)第2回会合が5月末、文部科学省で開かれた。

 

部会には青柳正規文化庁長官、文化庁関係者ほか宮田亮平文化審議会長を含む15名の委員が出席した。今期は夏期までに平成27年度概算要求、来年2月中に下村文部科学大臣より示された「文化芸術立国中期プラン」に基づく第4次基本方針の策定(予定)、更には2020東京五輪を見据えた方策「早急に対応すべき事項」の検討、提言である。

 

この日は太下義之、加藤種男、佐々木雅幸、馬渕明子、宮田亮平、三好勝則の6委員から文化政策を戦略的に打ち出していくに当たっての論点、意見が提出シートと共に発表された。太下委員の継承、国際交流、共有、総合政策、協創・協働、逆転のキーワード7つに基づく政策デザイン、馬渕委員による(独法)国立美術館の所蔵品・関連資料のデータベース化と内外への高レベルな発信、アジアにおける西洋美術研究の中心を目指すこと、20年に「スポーツと身体の関係に関する展覧会」実現を図ることなどが提言された。

 

「IRUCA:国際藝術図書館」構想を語る宮田亮平・東京藝術大学学長

宮田委員は「今後の文化振興に関する視点・施策等について」と題して2020年および20年以降を見据えた基本的な視点を提示。日本各地の潜在的な“芸術文化力”を総結集し、その核となる発信・交流拠点(ハブ)を形成すると共に高度専門人材育成や環境整備等、地域と一体となったシステム構築が必須。これを踏まえ、わが国屈指の文化施設の集積“上野の杜”をそのハブとする新構想、とした。東博、科博、西美、動物園、文化会館等日本屈指の文化施設の集結、それは世界的にも誇るべきレベル。上野・秋葉原・東京は芸術・学術・ポップカルチャーという文化資源の連携。その中核施設が“芸術における知の拠点【国際藝術図書館】”=International Resource Center of the Arts:IRUCAイルカ(仮称)である。

 

東京藝大が担うIRUCA計画は、今後求められる文化の醸成と継承を強化するための「芸術創造」の礎として本、楽譜、美術品、楽器、フィルム、音響記録等の多岐多様な芸術情報を「芸術を創造するプロセスのリソース」として網羅し、日本文化を国内外に広く発信する拠点として高度な利活用を可能にする場を作る事業だと説明。芸術資源アーカイブシステムの構築、芸術専門人材育成と機関連携など4つの柱からなり、藝大が地域社会と深くかかわりながら文化芸術立国の発展に寄与したいと表明した。

 

「新美術新聞」6月11日(第1346号)3面より

 
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