【レポート】 安倍総理が推進 国際交流基金にアジアセンターを設置

2014年05月17日 10:00 カテゴリ:最新のニュース

 

「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト~知り合うアジア~」始動へ

2020年に向け日本とアジア諸国の双方向文化協力の強化

 

「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト」発足記念式典で挨拶する安倍総理=4月15日
提供:国際交流基金

 

(独法)国際交流基金(東京・四谷、安藤裕康理事長)は、昨年12月の日・ASEAN特別首脳会議で日本政府が発表した新しいアジア文化交流政策「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト~知り合うアジア~」を開始、その実施を担う部署としてこの4月「アジアセンター」を新設した。今後、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、日本とアジア諸国との双方向の文化交流を強化推進するという。活動の一翼を担う同センターの下山雅也・部長に話を聞いた。

 

アジアセンターは今年4月1日、同基金内に設置されたが、そこには安倍政権の新しいイニシアチブがある。2013年1月、アジアの多様な文化、伝統を共に守り、育てていくとする「対ASEAN外交5原則」が発表された。4月に新しいアジア文化交流政策を検討する「アジア文化交流懇談会」を設置。同会は半年かけて議論を進め、9月には安倍総理に提言が出された。10月、日・ASEAN友好協力40周年記念シンポジウム「調和するアジア―文化交流の新時代」を開催。そして12月のサミットで打ち出されたのが「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト」である。下山部長は「WA(わ)とは漢字でいろんな意味を持ち、調和の和、繋いでいく環、東京開催が決まった五輪の輪、つまりオリンピックは日本にとって重要な画期となる出来事、それは当然アジアの五輪という位置付けで、対等の立場、双方向でやっていく、その地域との交流の強化です」と説明する。

 

7年間で総額予算300億円。そのうち3分の2の200億円がアジアセンターが担う新しい事業に措置された。年にすると30億円、交流基金全体の予算が140~150億なのでそこに30億円積み上がる事は相当なインパクトだ。「これから更なる成長が望める東南アジア、外交上の重要性が高まる地域ゆえ、特別に重視しての措置です」と下山氏。

 

国際交流基金が行う日本語講座では多彩な文化体験・交流プログラムも展開される ©Mariko Tagashira 提供:国際交流基金

具体的には日本語学習支援事業と芸術文化の双方向交流事業の二本柱。従来、海外で日本語を学習する人は中国、韓国、豪州が多かったが、近年はインドネシア、マレーシア、ベトナムなどで学ぶ人が急伸中だ。日本語学習者は世界で約400万人、うちインドネシアで約90万人。教える人材不足が深刻なのだ。それに見合う環境を整えるための「日本語パートナーズ派遣事業」である。語学の専門性より特技やキャリアを生かして現地に溶け込み、一緒に仕事をする人材を交流基金では募集中だ(20~69歳が条件)。第1、2回公募では25、30名ワクに各々154、167名が応募。年齢では20代が約3~4割、50~60代が半数を占めた。芸術系大学からの応募にも期待するという。同基金では2020年までに延べ3千人をASEANに派遣する。

 

「もう一つが芸術文化事業。これまでは美術・音楽でも舞台でも日本から海外に持って行ってみせる事業でした。これからは専門家やアーティスト、市民をいろんなレベルで日本とアジアの人とを繋ぎ、広げ深め、何かを作る事業。いま力を入れているのがASEANと日本のキュレーター同士を繋げる試み。東近美・国立国際・都現美その他、内外の美術館とも展覧会を創る企画も実際に始まっています。アジアセンターはASEANを主要ターゲットに、中国・韓国・インドも含めたアジアとの交流を進めていきます」。

 

「新美術新聞」2014年5月21日号(第1344号)3面より

 


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